2005 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患におけるエンドセリン拮抗薬を用いた新治療法開発とその分子薬理学的研究
Project/Area Number |
05F05488
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮内 卓 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JESMIN Subrina 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 高血圧心 / 糖尿病心 / エンドセリン / アンジオテンシンII / 心臓リモデリング / エンドセリン遮断薬 / レニン・アンジオテンシン系 |
Research Abstract |
高血圧心や糖尿病心は心臓リモデリングを起こして予後に悪影響を及ぼすが、これに対するエンドセリン(ET)遮断薬の効果は不明である。さらに、ET-1が心臓におけるアンジオテンシンIIの産生に影響を与えるかも不明である。本研究では、脳卒中易発生高血圧ラット(SHR-SP)と糖尿病モデルラット(ストレプトゾトシン投与)にてこれらを検討した。6週齢のSHR-SPに、ET-A/-B両受容体遮断薬SB209670かvehicle(生理食塩水)を浸透圧ミニポンプで3か月間投与し、心臓を摘出した。正常血圧コントロールとして、WKYラットを用いた。WKYラットの心臓に比べ、vehicle群(SHR-SP)では、アンジオテンシンII、レニン、アンジオテンシノーゲン、ACE、AT1受容体のペプチドレベルの著明な発現増大を認めたが、ET遮断薬群ではこれらの発現増大は抑制されていた。また、血中アンジオテンシンII濃度、血漿レニン活性とACE活性もWKYラットに比べvehicle群(SHR-SP)で著明な増加を認めたが、ET遮断薬群ではこの増加は抑制されていた。さらに、vehicle群(SHR-SP)で認められた著明な心肥大と心臓線維化も、ET遮断薬群で抑制されていた。以上より、ET受容体遮断薬は、SHR-SPの心臓にてレニン・アンジオテンシン(RAS)系の各コンポーネントの発現の著明な増大を正常化することが示された。また、糖尿病モデルラットにET-A/-B両受容体遮断薬SB209670を慢性投与したところ、心臓リモデリングに対して同様の改善効果が見られた。すなわち、高血圧心や糖尿病心の心臓リモデリングにて、RAS系の各コンポーネントの発現に対してET-1は発現誘導因子としての調節機能を持っており、ET遮断薬の心臓リモデリング抑制効果の一部は心臓RAS系の発現抑制に起因することが示唆された。
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Research Products
(6 results)