2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス応答因子Nrf2が角化細胞の分化・紫外線反応に果たす役割
Project/Area Number |
05F05501
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大塚 藤男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XU Xuezhu 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Nrf2 / Keap1 / 皮膚 / 分化 |
Research Abstract |
活性酸素等の酸化ストレスは、多くは細胞障害性に作用し、細胞死や癌化、老化の原因になると考えられている。これに対し、生体は過剰な酸化ストレスを中和し、細胞や生体を酸化ストレスから保護するしくみも用意している。酸化ストレス応答系Nrf2-Keap1は、細胞が酸化ストレスに暴露されると活性化し、抗酸化・生体防御蛋白であるグルクロン酸転移酵素やグルタチオンS転移酵素遺伝子等の発現を活性化する主要な経路として最近同定された。一方、紫外線(UV)は、強力な酸化ストレス発生源として知られており、本研究ではUVとNrf2が皮膚の炎症、分化、発癌、老化にどのように関わっているかを明らかにすることを目的とし、本年度は、まずはじめに、皮膚におけるNrf2の発現を抗Nrf2抗体を用いた免疫組織染色により調べた。その結果、皮膚、特に表皮にはNrf2が豊富に発現していることがわかった。皮膚は生体にとって、外界から生体内を守る最前線であり、生体保護に重要なシステムであるNrf2-Keap1系が、他の組織に比べて豊富に存在していることは合目的と考えられた。一方で、表皮のより外側に位置する分化した角化細胞は、未分化細胞である基底層細胞に比べて、よりNrf2の活性化がみられることが予想されたが、Nrf2の発現レベルは表皮ケラチノサイトの分化(角化)により変化しないことが明かとなった。培養表皮角化細胞にカルシウムスイッチをかけ、分化の前後でNrf2の発現を比較したが、分化によりNrf2の活性化(核内移行)は観察されなかった。Nrf2の活性化は角化細胞の内的な分化のみでは起こらず、何らかの外来刺激が必要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)