2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化管でのシュウ酸吸収と、様々な前駆物質からの内因性のシュウ酸合成について
Project/Area Number |
05F05503
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小川 由英 琉球大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN Rayhan Zubair 琉球大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | シュウ酸 / 前駆物質 / カルシウム / ビタミンB6欠乏 / 尿路結石 |
Research Abstract |
シュウ酸カルシウムが尿路結石成分の中では最も多く、沖縄でも80%以上である。尿中にシュウ酸排泄が多いと尿路結石が形成され易い。食事中のシュウ酸がその尿中排泄に重要な影響を及ぼしている。カルシウムを予め摂取し、シュウ酸を摂取するとその吸収は抑制される。消化管中で結合してカルシウム塩となるシュウ酸は吸収され難くなり、尿中へのシュウ酸排泄は減少する。以前我々はラットを用いて、高カルシウム低脂肪牛乳がシュウ酸吸収を強く阻止することを証明した。尿中へ排泄されるシュウ酸の約80%はシュウ酸の前駆物質より生体内で合成されるものである。肝細胞内にて最終代謝産物であるシュウ酸へ代謝され、AGT(アラニン・グリオキシル酸アミノ基転移酵素)の補酵素であるビタミンB6が欠乏すると過シュウ酸尿となる。我々はシュウ酸前駆物質として、グリオキシル酸、グリコール酸、ハイドロキシプロリンなどが重要であることを報告した。今回、動物モデルを用いて、低カリウムと低マグネシウム食、ビタミンB6欠乏状態におけるシュウ酸前駆物質(ハイドロキシピルビン酸、キシリトールなど)投与の影響を検討した。ビタミンB6欠乏ラットではAGTノックアウト+GRHPR(グリオキシル酸還元酵素)ノックアウト状態で、シュウ酸前駆物質を投与すると尿中シュウ酸産生が著しく増加する。さらに、AGTノックアウトマウスが作製され、その実験準備のためにマウスでの同様な実験が出来るように、マウスでの実験系を検討中である。 ビタミンB6欠乏ラットにて様々なシュウ酸前駆物質を投与し、(1)ヒドロキシプロリンとキシリトールはグリコール酸を経由せずグリオキシル酸となり、シュウ酸に代謝される。(2)ヒドロキシピルビン酸とエチレングリコールはグリコール酸を経由しグリオキシル酸となりシュウ酸へと代謝される。(3)ビタミンB6欠乏はAGTとGRHPRノックアウト状態である。(4)ビタミンB6欠乏では非常に早期より低クエン酸尿となる。以上の結論を得たので、さらにヒドロキシピルビン酸を含有するコラーゲン、さらにヒドロキシピルビン酸の前駆物質であるセリンを投与してシュウ酸産生を検討中である。
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