2006 Fiscal Year Annual Research Report
消化管でのシュウ酸吸収と、様々な前駆物質からの内因性のシュウ酸合成について
Project/Area Number |
05F05503
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小川 由英 琉球大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN Rayhan Zubair 琉球大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | シュウ酸 / カルシウム / グリオキシル酸解毒酵素 / ビタミンB6欠乏 / グリコール酸 / ハイドロキシプロリン / クエン酸 / キャピラリー電気泳動 |
Research Abstract |
シュウ酸カルシウム尿路結石形成の危険因子として、過カルシウム尿とともに過シュウ酸尿が重要である。食事中のシュウ酸が吸収され、尿中に排泄されるが、その吸収を阻害する物質としてカルシウムとマグネシウムがあり、その阻害作用は同等で、予めこれらの阻害物質が消化管に存在すると、シュウ酸の吸収抑制が強いことをラットで示した。さらに、高カルシウム低脂肪牛乳がシュウ酸吸収を強く阻害する。同様に、動物モデルを用いて、低カリウムと低マグネシウム食が尿中シュウ酸に及ぼす影響を検討し、過シュウ酸尿とともに低クエン酸尿を呈することを明らかにした。さらに、ビタミンB6欠乏状態(シュウ酸代謝に重要なグリオキシル酸を解毒する酵素AGTの機能不全)におけるシュウ酸代謝を検討し、グリオキシル酸、グリコール酸、グリシン、エチレングリコール、ハイドロキシピルビン酸、ハイドロキシプロリン、キシリトールなどがビタミンB6欠乏となると、過剰にシュウ酸に代謝される。グリオキシル酸の実験では、グリオキシル酸還元酵素もビタミンB6欠乏で障害され、さらにクエン酸産生も障害されることを明らかにした。エチレングリコールとハイドロキシピルビン酸はグリコール酸を経由してグリオキシル酸となることを示し、ハイドロキシプロリンとキシリトールはミトコンドリアでグリオキシル酸に代謝され、シュウ酸となる。さらにセリンはハイドロキシピルビン酸に、コラーゲンはハイドロキシプロリンに代謝されるので、これらの物質の量を増やして投与し、シュウ酸への代謝が見られるかを本年度は検討する予定である。さらにシュウ酸関連物質の測定で、高速液体クロマトグラフィーを用いて、血漿シュウ酸とグリオキシル酸を、グリコール酸、クエン酸、アスコルビン酸などは質量分析を装備したキャピラリー泳動で0.1μmol/lのレベルの測定を可能とし、シュウ酸代謝の実験をより容易とした。
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