2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオン照射を用いたシリコンナノ構造形成における素過程の動的観察
Project/Area Number |
05F05551
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大泊 巌 早稲田大学, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN Feng 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 表面ナノ改質 / イオン照射 / 走査型トンネル顕微鏡 / Si |
Research Abstract |
【研究背景】イオン照射による固体表面改質をナノテクノロジーに応用し得る現実的な技術として発展させるには、イオンと固体表面との相互作用をナノレベルで評価し、必要な物性を付与するための学理の構築が不可欠である。これに関し我々は、イオン銃とSTMの複合装置を独自開発し、希ガスイオンの衝突により誘起された構造変化のその後の熱処理過程における変化をその場で直接観察してきた。しかしながら、実際の半導体プロセスで用いられるドーパントイオンの照射はイオン銃の技能的制約により不可能であり、固体表面の欠陥の原子的挙動の解明に留まっていた。そこで、金属イオンを注入できる新たなイオン銃をSTMに複合させた装置開発が必要であった。 【研究手法】装置デザインの設計・開発とその性能評価を行った。高温観察可能な超高真空STMに液体金属イオン源方式のイオン銃を複合した構成にした。独自の接地電圧浮遊構造を有するイオン銃カラムの設計、及び本研究室が有する多種のLMIS作製技術と併せることで、低加速電圧の金属イオンビーム照射が可能な仕様にした。 【研究成果】Au-Si LMISを用いて所望のイオンビームの抽出、および試料位置における十分なイオンビーム量の確保に成功した。また、高温保持のSi(111)表面をSTM観察中にSiイオンを照射し、リアルタイムその場観察の可否を試験した。約500℃に保持したSi(111)7x7DAS表面に対し、500eVのSiイオンビームを照射した前後の連続STM像を取得した。イオン照射前後において原子スケールで同一の領域のSTM観察を維持し、イオン照射による表面欠陥の形成を観察することに成功した。 今回の成果により、その場観察の特長を備えつつ、ドーパント等の多様なイオン種によるナノスケール表面改質の解明に有力な手段を開発できたといえる。この成果は1件の論文として報告された。
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Research Products
(1 results)