2005 Fiscal Year Annual Research Report
低速多価イオンマニミュレーションと単イオンナノドット生成への応用
Project/Area Number |
05F05606
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山崎 泰規 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
O'ROURKE Brian Eugene 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 外国人特別研究員
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Keywords | 低速多価イオン / ナノドット / ポテンシャルエネルギー |
Research Abstract |
低速多価イオンをHOPGに照射することにより形成されるナノドットのサイズ、ドット高さ、等を、入射イオンの価数、入射エネルギー関数として調べた。今年度は特に、(1)従来より低い入射エネルギーで、かつ、(2)in-situでの実験が可能となるよう多価イオン源、照射室、SPMを結合し、試料を空気に触れさせることなく観測が可能となるように実験装置を改造した。この(2)に関わる改造は、イオン源部からの各種振動が直接SPM部に持ち込まれてしまう危険があり、結合部の設計には細心の注意を要したが、ダンパーの工夫や途中ビームラインの固定方法を調整するなどいくつかの措置をすることでSPMの性能を損なうことなく、実現できた。 (1)に関しては、標的部を高圧でバイアスし、かつ多価イオンビームが標的部に収束しながらsoft landingできるように改造した。この改造により、全エネルギー200eVというこれまでより一桁以上低いエネルギーでの実験が可能になった。低いエネルギーでは多価イオンの表面付近での滞在時間が増し、表面付近へのエネルギー付与が増加すると予想された。実際、ドットサイズを200eVと2keVで比較すると、前者は5割程度大きなドットを形成することが分かった。一方、ドットの高さについては、傾向が逆で、入射エネルギーを下げると、測定した全ての価数について4割方低くなることが観測された。いずれの効果も大変大きなもので、今後このような大きな運動エネルギー依存性がどこから来るのか詰めたいと考えている。
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