2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体への高効率スピン注入技術およびスピン操作技術の開発
Project/Area Number |
05F05620
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
眞砂 卓史 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SINSARP Asawin 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 半導体 / スピン注入 / 強磁性金属 / 発光ダイオード |
Research Abstract |
本年度は、分子線エピタキシー装置(MBE)を用いて、発光ダイオード(LED)構造の上にMgOのトンネル接合の作製条件を探索した。LEDに関しては井戸層の幅やドーピングプロファイルの検討を行い、強磁性電極としてはFeを用い、Au/Fe/MgO/GaAs-LED構造を作製することが可能となった。反射高エネルギー電子線回折(RHEED)観察においては、エピタキシャルに近い状態で成長しているパターンが得られ、さらに断面透過電子線回折(TEM)やX線回折の解析の結果、(100)面が優先配向しているものの他の方向のグレインも存在しているようであることが分かってきている。このように作製された膜は、微細加工によって発光ダイオード素子を作製する。プロセス条件を見直すことにより、歩留まり良く素子が作製できるようになった。発光ダイオードの測定では、ほぼ設計通りの井戸層からの発光を観測することができた。しかしながら、印加できる磁場強度の不足もあり、まだスピン注入の信号は得られていない。現在、磁場が十分印加できる装置での測定については進行中である。 スピン発光ダイオードに組み合わせる強磁性体の探索として、GaAs基板上に成長したMnAs薄膜の磁気特性・電気伝導特性を測定した。MnAs薄膜はエピタキシャルにGaAs上に成長し、強い磁気異方性を示すとともに、磁気抵抗効果が磁場印加方向に大きく依存することが分かった。また、強磁性体FePtはMgO上にエピタキシャルに成長することが期待される上、垂直磁化を示すため、もしスピン注入素子に適用できれば0磁場でスピン注入が可能になる。このため、MgO上のFePtの作製をスパッタリングにより試みている。今後MBEによる作製とLEDへの適用を行なっていく予定である。
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