Research Abstract |
本年度は研究分担者のセレネン・ジャルガランが東京大学の予算でモンゴル南部ゴビ地域に出張した.昨年度に引き続きモンゴル南部および西部の希土類鉱床の地質調査を行った.採取試料の試料調整後,顕微鏡での薄片観察EPMAを用いた鉱物化学組成分析,XRDを用いた鉱物同定,XRF, ICP-MSを用いだ全岩化学組成の分析, Re-Os年代測定を行った.またモンゴル地質情報センターからモンゴルの希土類鉱床に関するソ連による調査資料を収集した. これらの調査の結果,モンゴルの主要な4希土類鉱床(Mushgai Khudag, Khan Bogd, Lugiin Gol, Khalzan Burged)の資源ポテンシャル評価を行った.MushgaiKhudagカーボナタイト鉱床では17の鉱体が分布し,これらはカーボナタイト,磁鉄鉱-燐灰石,燐灰石鉱体からなる.これらの鉱体には,燐灰石,方解石,蛍石等の鉱石鉱物が含まれる.主鉱体と燐灰石鉱体の探査資料の解析と野外での採取試料の分析結果から,この鉱床では,21.9Mtの酸化希土鉱石(品位1.0%)が少なくとも見込まれ,Pr, Nd, Tb, Dyはそれぞれ8575t,22490t,117t,553t含有されることが明らかになった. Khan Bogdアルカリ岩鉱床は直径約30kmの複合アルカリ岩体からなり,この中にはペグマタイトが分布し,希土類元素はペグマタイト部に約800-1000ppm濃集することが明らかになった.含有鉱物はエピルダイト,アームストロンガイト,シンチサイト,阿武隈石,モナズ石である.ただしペグマタイトの規模は限られており,品位もムシュガイハダックほど高くないことから開発できるレベルではないことが判明した.
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