2005 Fiscal Year Annual Research Report
C-H活性化に基づく元素リンからの有機リン類の直接合成
Project/Area Number |
05F05625
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 敏明 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Dae-Yon 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | リン化合物 / 化学結合活性化 / 錯体化学 / 触媒的合成 |
Research Abstract |
有機リン類の合成は殆どハロリン類(R2PX)を用いて行われている。元素リンなどから直接有機リン化合物を合成できれば、革新的なプロセスになると期待されるが、これまであまり検討されてこなかった。本研究では、遷移金属錯体によるC-H結合の活性化をキーリアクションとし、リン元素などの直接挿入によるリン化学結合の新形成法の開発を目標とした。本年度では、元素リンなどと錯体の反応の検討から着手し、元素リンの炭素-金属またはヘテロ原子-金属への挿入過程を明らかにすることを目指した。すなわち、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの遷移金属錯体を合成し、これとリン元素などと反応を検討した。NMRなどを用いた実験から、基質間の反応は進行したが、中間体が水・空気中に不安定であるため、単離同定に成功しなかった。一方、C-H結合活性化によるC-P結合形成反応のモデル反応として、酢酸パラジウムなどの存在下、種々のリン化合物と2-フェニルピリジンやN, N-ジメチルアニリンとの反応を検討しました。種々の条件下反応を行ったが、いずれもC-P結合形成による新しいリン化合物の発生が認められなかった。しかし、ジフェニルホスフィンオキシドと触媒量のトリフルオロ酢酸パラジウムをトルエン中加熱したところ、トルエンC-H結合活性化に基づく生成物が得られなかったものの、ジフェニルホスフィンオキシドのC-P結合の切断が伴い形成したと思われた化合物が得られた。反応混合物をGPCにより単離したところ、トリフェニルホスフィンとトリフェニルホスフィンオキシドが合わせて約50%の収率で得られた。このことは、パラジウムによるH-PとC-P結合切断および新たなC-P結合形成が進行したことを示した興味深い現象であり、その詳細について現在検討を行っている。また、光学活性P-H結合の活性化についても検討し、高選択的メントキシフェニルホスフィナートの新規発生ルートを見出した。
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