2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖-蛋白質の特異的相互作用を利用した、毒素検知センサー開発のための基盤研究
Project/Area Number |
05F05633
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鵜沢 浩隆 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, チーム長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SARKAR Sujit Kumar 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | センサー / 糖鎖合成 / シアル酸 |
Research Abstract |
本研究では、国内で社会問題となっている院内感染や食中毒の感染原因である黄色ブドウ球菌の生産するα-トキシンを選択的に検出するセンサー開発のための基盤研究を行った。α-トキシンは、シアル酸を末端に有する5糖:Neu5Acα2-3Ga1β1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcに結合することが知られている。昨年度までにこの5糖のうち、毒素認識に重要な非還元末端側の3糖(下線部)の完全保護体の合成まで行った。本年度は、この3糖完全保護体の脱保護をはじめに試みた。アセチル基、シリル基、ベンジリデン基等で保護した3糖をBu_4NF, NaOMe/MeOH-H_2O, Pd(OH)_2/H_2の順で処理して、還元末端側の配糖体のアジド基がアミノ基に還元された3糖Neu5Acα2-3Ga1β1-4GlcNAcβ1- (spacer)-NH_2を3工程65%で得ることに成功した。又、類似の方法により、アセチル基で保護した位置異性体Neu5Acα2-6Ga1β1-4GlcNAcの完全保護体も合成した。NaOMe/MeOH-H_2Oで処理して目的とするNeu5Acα2-6Ga1β1-4GlcNAcβ1-(spacer)-N_3を得ることに成功した。5糖については、次のように検討している。ベンジル基で保護したラクトースに適当なスペーサーを導入した2糖誘導体をアクセプターとし、NIS, TMSOTfの存在下、4',6'位をベンジリデン基で保護したチオ2糖誘導体、又は、主にアセチル基で保護したチオ2糖誘導体を反応させ、各々、4糖を合成した。前者のベンジリデン基を脱保護して非還元末側の4,6位が遊離した4糖に変換した。後者は、脱アセチル化、イソプロピリデン化、アセチル化、脱イソプロピリデン化を経て4糖誘導体とした。これらの3位又は6位にNeuNAcを導入することを検討しているが、収率の点で改善の余地がある。又、先に合成した2種類の3糖については、還元末端側にアミノ基を有しているので、ここにリボ酸の導入を試みた。現在、金基板への固定化を試み、SPRによるレクチンの結合能を検討中である。
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