2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア稲作農村における灌漑水利用にかかわる社会資本の役割とその影響
Project/Area Number |
05F05653
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
多田 稔 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 国際開発領域, 領域長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BHANDARI Humnah 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 国際開発領域, 外国人特別研究員
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Keywords | 灌漑 / 制度 / 社会関係資本 / 価値観 |
Research Abstract |
1.東北タイ調査 (1)東北タイのロイエット県における146の中小灌漑システムから、社会関係資本、灌漑制度、水管理政策、作付類型に関するデータを収集した。 (2)その結果、東北タイでは農業生産にとって小規模灌漑が非常に重要であるが、実際には水利用の効率性は極めて悪く、この問題を解決するためには、水利用者の組織を創設し、農民の社会的ネットワーク形成を図ることが重要である、ということが解明された。同時に、この地域では干害も農業生産を制約する主要因であり、貧困の原因となっている。干害によるダメージを回避するためには、水の流域管理と早期警戒システムの構築が有用である。 2.世界価値観調査の分析 (1)世界価値観調査による12,000の回答者データの分析に基づき、JIRCASワーキングレポート「価値観、社会変化、社会関係資本:アジアにおける国際比較分析」を作成中である。 (2)データの分析から、1)アジア地域では価値観の分散範囲が広く多様である、2)社会関係資本が中程度に備わっている、3)市場指向の経済を支持する人が多い、4)環境保全のために支払う用意ができている、5)社会の近代化が伝統的価値を徐々に変容させている、6)所得の向上のみでは生活の質を上げたり貧困に立ち向かい持続的発展を維持するのに不十分である、7)生活の満足度を向上させるには社会文化的価値を伴う人間それ自身の開発を行うことが必要、という結果が得られた。 3.その他 以上のほかに、日本農業系学会における「東北タイにおける干害の影響と農家の対応メカニズム」の報告、茨城県高萩高校におけるネパールの農業・文化・地理に関する講演、の本農業経済学会への参加がある。
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Research Products
(2 results)