Research Abstract |
中国江西省の徳興斑岩銅鉱床周辺の地質調査を行い,追加試料を採取した.斑岩銅鉱床を伴う斑岩の粉体試料を作成し、蛍光X線測定装置を用いて主要成分の全岩化学組成を明らかにするとともに,ICP-MSを用いて微最成分,希土類成分の測定を行った.また岩石・鉱石試料の研磨薄片を作成し,偏光顕微鏡下で構成鉱物の記載を行った.鉱石試料から両面研磨片を作成し,カソードルミネッセンス法を用いて石英脈の観察を行い,流体包有物の分類,均質化温度測定,塩濃度測定を行った,交渉中の硫化鉱物を用いて硫黄同位体比の測定を行い,火成起源,熱水起源の含水鉱物を用いて,酸素・水素同位体測定を行った.また鉱床形成時期を明らかにするためにRe-Os年代測定およびAr-Ar年代測定を行った(Ar-Ar年代測定は実施中). これらの調査,測定結果から徳興斑岩銅鉱床は,170Maに海洋地殻の沈み込む場においてカルクアルカリ質マグマ活動に伴って形成されたことが明らかになった.この地域には徳興鉱床以外にも永平銅モリブデン鉱床が分布するが,調査の結果この鉱床は,従来考えられていた塊状硫化物鉱床ではなく,花崗岩斑岩に伴われたクライマックス型モリブデン・銅鉱床であることが判明した.Re-Os法により求めた鉱化作用の年代は156Maであり,徳興鉱床の年代よりも新しいことも判明した. これらの結果は,2006年7月に神戸で開催された国際鉱物学連合の総会で発表し,また論文原稿をResource Geologyに投稿した.
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