2006 Fiscal Year Annual Research Report
複雑系のフェムト秒蛍光顕微分光:超高速光物理過程の解明
Project/Area Number |
05F05665
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田原 太平 独立行政法人理化学研究所, 田原分子分光研究室, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SEN Sobhan 独立行政法人理化学研究所, 田原分子分光研究室, 外国人特別研究員
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Keywords | 非線形分光 / 界面 / フェムト / ナノ / 先端計測 / レーザー分光 / 溶媒和 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
これまで測定することが極めて困難であった液体界面の分子の電子スペクトルを測定する新しい非線形分光法として、電子和周波発生(ESFG)分光法を開発した。この方法では、狭帯域のω_1フェムト秒光パルスと広帯域のω_2フェムト白色光パルスを界面分子に同時に照射し、異なる波長で発生する2次の電子和周波(ESFG)信号を分光してマルチチャンネル検出器で観測することによって、界面分子の電子スペクトルをこれまでになく高い精度で測定することができる。今年度は、水-空気界面の5種の構造の異なるクマリン分子の電子スペクトルと分子配向をESFG法と第二高調波発生(SHG)偏光測定を用いて精密に調べることによって、界面の溶媒和と分子が界面で実効的に感じている極性についての新しい知見を得た。溶液中のクマリン分子の吸収スペクトルは溶媒の極性で敏感に変化することが知られており、その最低電子励起状態への吸収帯の波長は、分子が感じている局所環境の極性のマーカーになる。空気-水界面のクマリンの電子スペクトルをESFG法で測定したところ、それぞれ水と空気の中間的な極性を示すピーク波長を示したが、分子によって異なる極性値に対応する波長にピークを示すという驚くべき結果を得た。すなわちこの結果は、同じ水-空気界面においても、分子構造の異なるクマリン分子は実効的に異なる局所極性を感じているということを示している。さらに、第二高調波発生(SHG)偏光依存性の実験によってこれらクマリン分:子の界面分子配向角を求めたところ、界面分子配向角と分子が空気-水界面で感じている極性の間に非常に良い相関があることが見いだされた。また、色素分子を含むベシクルを作成し、時間分解蛍光顕微鏡を用いて色素分子の蛍光寿命の空間分布によるLife time Imagingを試みた。
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