2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05666
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
島田 茂 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Yonghua 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒 / 配位子 / ケイ素 / 遷移金属 / 錯体 / イリジウム / ロジウム / パラジウム |
Research Abstract |
高い電子供与能やトランス効果を有するケイ素配位子により従来の配位子では得られない反応性を遷移金属錯体に与えることを目的に研究を継続した。昨年度合成法を確立したケイ素部位と2つのリン部位をフェニレンでつないだ新規配位子前駆体に関し、リン原子上の置換基が異なる化合物を合成した。さらにこの配位子前駆体と一価の[Rh(coe)_2Cl]_2(coe=シクロオクテン)及び[Ir(cod)Cl]_2(cod=1,5-シクロオクタジエン)との反応により目的とする三価クロロヒドリド錯体の合成に成功した。現在、これら錯体の還元等により触媒前駆体錯体への変換を検討している。 当初の計画では9族遷移金属錯体に重点をおいて検討する予走であったが、様々な反応の触媒として重要なパラジウム錯体に関し若干の検討を行ったところ興味深い結果を得たのでさらに詳細な検討を行った。キレートケイ素配位子前駆体である1,2-C_6H_4(SiMe_2H)(SiH_3)(1)と0価パラジウム錯体とを1:1の比で室温で反応させると予想通りビス(シリル)パラジウム(II)錯体が生成した。この錯体を70℃以上に加熱すると、ケイ素-ケイ素結合の生成を伴って自己縮合を起こした二核錯体と、全く前例の無い構造を有する三核錯体及び四核錯体が生成した。X線構造解析により、三核錯体および四核錯体の中心パラジウム原子には5つのケイ素原子が結合し形式的に五価ともいえる構造を持つことが分かった。さらに、理論計算により中心パラジウムとケイ素原子との結合が高い単結合性を有することを明らかにした。また、1と0価パラジウム錯体とを2:1の比で反応させると、ボスフィン配位子の立体障害に応じてケイ素-ケイ素結合を2つあるいは5つ持つ単核あるいは二核錯体が選択的に生成することを見出した。
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