2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質検出のための糖鎖ライブラリーの構築と糖鎖アレイの作成技術
Project/Area Number |
05F05678
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鵜沢 浩隆 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, チーム長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOULIK Kakali 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 糖鎖ライブラリー / 糖鎖アレイ |
Research Abstract |
硫酸化糖鎖は、糖蛋白質、糖脂質、あるいは、グリコサミノグリカンとよばれる巨大なクラスター分子として細胞表層に広く存在し、細胞接着、情報伝達、分子認識等に深く関与している。又、これらの硫酸化糖鎖は、細菌やウィルス感染の標的分子としても知られている。しかし、硫酸化糖鎖の構造とレクチンやウィルス由来蛋白質、例えば、HIV(エイズウィルス)の膜蛋白質(gp120)との結合相互作用は、必ずしも十分に研究がなされていない。そこで本研究では、(1)硫酸基の数と位置を精密に制御した硫酸化糖鎖の合成とスモールライブラリーの構築、(2)合成硫酸化糖鎖を用いた糖鎖アレイ化技術の確立と本糖鎖アレイを用いたレクチンやウィルス性膜蛋白質との相互作用解析を行うことを目的として研究を開始した。 HIVウィルスの膜表面に存在するgp120という蛋白質は、天然糖脂質であるスルファチド(-SO_3-3Gal-Cer;Galはガラクトースを、Cerはセラミドを、硫酸基は-SO_3を示す。)と特異的に結合することが知られている。本年度は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、あるいは、N-アセチルラクトサミン(LacNAc:Galb1-4GlcNAc)の各糖水酸基に対して、特異的に硫酸基を導入したさまざまな硫酸化糖のライブラリーの構築とセンサーへの応用について検討した。今年度は、わずか4ヶ月余の期間であるため、高感度センサーに利用し得る糖鎖アレイ用の分子設計を行った。具体的には、gp120などのウィルス性膜蛋白質と特異的に結合可能なさまざまな硫酸化糖について、これをアレイ化できる分子を設計した。 まず、共通のリンカーとして、末端にアミノ基、あるいは、それの前駆体であるアジド基を有し適当な長さのアルキル鎖を有する、N-アセチルラクトサミン、N-アセチルガラクトサミンを選択し、これらの3位、4位、6位、3,6位、4,6位などに硫酸基を1つないし2つ導入した化合物をターゲットとした。また、これらの硫酸化糖誘導体の効率的な合成ストラテジーについて検討し、合成に時間を要するN-アセチルラクトサミン誘導体の鍵中間体の合成を進めている。
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