2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNAを用いた土壌線虫相の同定手法と形態的同定の整合性向上に関する研究
Project/Area Number |
05F05682
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
荒城 雅昭 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 上席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAJID Olia 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | 線虫 / DNA塩基配列 / 形態 / 同定 / 保存 / 系統解析 |
Research Abstract |
ネットワーク上に公開された,飽和食塩水をベースにDMSOおよびEDTAを加えた処方の保存液(以下塩漬固定液,塩漬固定液を用いる保存・固定法を塩漬法という)は,線虫の形態が保存され,DNAも分解せず抽出可能な保存方法であるといえることを確認した。従って,塩漬法で固定し,形態的同定を行った線虫標本からDNAを抽出してその塩基配列を読み取ることにより,DNAを用いた土壌線虫の同定と形態的同定の整合性を効率的に確認し,向上させられると考えられた。しかし,線虫が脱皮直後であるなどの生理的状態によっては,形態が著しく変化する場合もあることが判った。このため,塩漬固定液で保存・固定された線虫標本の形態が,これまでの常法であるホルマリンを含む固定液を用いた固定方法比べどの程度よく維持されるのか,DNAがどれくらいの期間抽出可能かを明らかにする試験は,線虫のステージが成虫などに揃った材料を得ることに手間取って,ようやく試験開始の目途が立ったところである。 並行して,Mononchida目土壌線虫やHeteroderidae科線虫を収集して,その形態による同定,DNA塩基配列の読取りを進め,Mononchida目土壌線虫に2種以上の未記載を認め,そのDNA塩基配列を登録可能にすることができた。現在これら2種の記載論文を作成中でまもなく投稿できる見通しである。併せて,これら線虫のDNA塩基配列による系統解析も進めているところで,Mononchida目土壌線虫では世界に先がけたデータを発表できると考えられる。
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