2006 Fiscal Year Annual Research Report
エコタイリング法によるオオムギvrs1遺伝子座の対立遺伝子変異の分子解析
Project/Area Number |
05F05684
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小松田 隆夫 独立行政法人農業生物資源研究所, 基盤研究領域・植物ゲノム研究ユニット, 上席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAIR S.K. 独立行政法人農業生物資源研究所, 基盤研究領域・植物ゲノム研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | オオムギ / 分子遺伝 / 進化 / 遺伝子多様性 |
Research Abstract |
オオムギは醸造や飼料用として世界的に重要な穀物であり、今後新たな知見を利用した一層の高収・高品質化や高度耐病性、そしてストレス耐性付与が強く望まれている。特に近い将来予想される深刻な食料不足に対応した研究は重要である。野生オオムギは中近東地域の気象や土壌条件に適応して自生するなど環境適応能力が高く、オオムギの品種改良にとって有用な遺伝資源である。 受入研究者らはオオムギ近縁野生種からの有用遺伝子発掘と利用に関する研究を進めており、特に穂の二条・六条性を決定する遺伝子(vrs1)の単離に成功した。この遺伝子は収量、病害抵抗性、各種利用形態に深く関連するため、遺伝的多様性が解明されればその産業的意味は大きい。また野生種は二条だけであるから、オオムギの栽培起源が明らかになると期待される。本研究では条性遺伝子領域の構造を明らかにし、野生種・栽培種における多様性解析を行うものである。 昨年度は、能率的な多様性解析にはDNA塩基配列多型を用いることが有効であることが明らかになった。そこで条性遺伝子に特異的なプライマーを作成し、栽培オオムギおよび野生オオムギからPCRでDNAを増幅し、DNA塩基配列を決定した。その結果、六条オオムギには塩基配列に3タイプが存在し、それぞれ異なる二条オオムギあるいは野生種に由来することが明らかになった。すなわち、六条オオムギには3つの異なる系譜が存在することが明らかになった。 ネパールの栽培オオムギの穂には多くの形態的変異が認められる。農業生物資源研究所ジーンバンクが保有する、ネパールの栽培オオムギ389系統を圃場で栽培し、穂の観察のための標本を作製した。次年度DNAの解析を行い、形態変異と関連を調べる予定でいる。 なお世界的に激しい遺伝子研究の競争を勝ち抜くため、4月から12月に集中的に研究を行い計画を早期終了した。
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