2007 Fiscal Year Annual Research Report
エコタイリング法によるオオムギvrs1遺伝子座の対立遺伝子変異の分子解析
Project/Area Number |
05F05684
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小松田 隆夫 National Institute of Agrobiological Sciences, 基盤研究領域・植物ゲノム研究ユニット, 上級研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAIR S. K 独立行政法人農業生物資源研究所, 基盤研究領域・植物ゲノム研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | 遺伝学 / 育種学 / 栽培起源 |
Research Abstract |
オオムギは醸造や飼料用として世界的に重要な穀物であり、今後新たな知見を利用した一層の高品質化や高度耐病性、そしてストレス耐性付与が強く望まれている。特に近い将来予想される深刻な気象変化に対応した研究は重要である。野生オオムギは中近東地域の気象や土壌条件に適応して自生するなど環境適応能力が高く、オオムギの品種改良にとって有用な遺伝資源である。受入研究者らはオオムギ近縁野生種からの有用遺伝子発掘と利用に関する研究を進めており、特に穂の二条・六条性を決定する遺伝子(vrs1)の単離にほぼ成功した。この遺伝子は収量、病害抵抗性、各種利用形態に深く関連するため、遣伝的多様性が解明されればその産業的意味は大きい。また野生種は二条だけであるから、オオムギの栽培起源が明らかになると期待される。本研究は条性遺伝子領域の構造を明らかにし、また閉花性遺伝子の単離をおこなって、オオムギにおける遺伝的多様性解析を行うものである。 世界のオオムギ分布をカバーする約300品種に農業生物資源研究所ジーンバンクが保有する系統を加え、穂の形態を観察するとともに、DNA塩基配列を決定した。その結果、世界の六条オオムギには全部で4つの系譜があることが明らかになった。特に北アフリカには固有の二条オオムギから六条オオムギへの系譜が認められた。さらに、新規六条オオムギの系譜が発見されると期待されるネパールや日本韓国などの地域からは、vrs1遺伝子の構造領域に変異が認められない新しい系譜を発見した。 さらにオオムギの閉花性を支配するcly1遺伝子の単離を試み、ゲノムの7kbという狭い領域に絞り込んだ。上記の世界中のオオムギ品種の遺伝子配列を調べたところ、開花・閉花性の表現型と良く一致した。以上のようにオオムギ栽培化に伴う穂の条性の進化パターンを解明することができた。
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Research Products
(2 results)