2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライトDNA解析に基づく,ミズダコの個体群構造
Project/Area Number |
05F05703
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白山 義久 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RIGBY Patricia Robin 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ミズダコ / 生物地理 / 個体群構造 / マイクロサテライト / 北太平洋 |
Research Abstract |
本研究では、いくつかの地域的な小個体群で差異が示唆されているミズダコについて、北太平洋全域に及ぶ広範なサンプルに基づいて、太洋スケールでその個体群構造を明らかにすることを目的としている。この研究目的を実現するために、今年度はまず北海道周辺に存在すると予想される8小個体群のミズダコの試料収集と、採集した試料のマイクロサテライトDNAの塩基配列の分析を主に実施した。軟体動物は細胞の特性から目的とするDNAの抽出が常法ではできないため、様々な方法を試し、特に細胞の破砕については、液体窒素を用いる方法が有効であることを明らかにした。これらの実験室内での作業のために、消耗品費の大部分を使用した。 一方、その他の海域からの試料の入手についても、努力を重ねた。まず東部太平洋海域の試料を入手するために、アラスカ大学のファルゴ博士にミズダコサンプルの採取とDNA試料の抽出および搬送を依頼し、先方とこの試料提供に関する契約を結んだ。さらに、ロシアのウラジオストックで開催された国際会議に出席し、極東海洋生物研究所のアドリアノブ博士から、ロシア海域からのミズダコ試料の提供について、確約を得た(この会議に出席するための旅費は、別の財源から得た)。これらの活動により、平成19年度に、研究目的を達成するために必要な試料を確実に入手できるようにすることと、その後のDNA抽出と分析に関する手法を確立することという、今年度中の研究目的をほぼ達成することができた。 また、2006年2月には、オーストラリアのブリスベンで開催された頭足類に関する国際会議に出席し、研究成果を発表するとともに、最新の研究情報の収集を行った。
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