2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライトDNA解析に基づく,ミズダコの個体群構造
Project/Area Number |
05F05703
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白山 義久 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PATRICIA Robin Rigby 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ミズダコ / 生物地理学 / 個体群構造 / 北太平洋 / ミトコンドリア / CO1 / マイクロサテライト |
Research Abstract |
本研究では、いくつかの地域的な小個体群で差異が示唆されているミズダコについて、北太平洋全域に及ぶ広範なサンプルに基づいて、太洋スケールでその個体群構造を明らかにすることを目的としている。この研究目的を実現するために、研究期間中に、全部で650個体のミズダコサンプルを、採集あるいは共同研究者などから入手した。採集地点は日本が10箇所、アメリカが3箇所、ロシアが1箇所である。これらの個体群構造を明らかにするために、分子生物学的手法を主に用いた。本研究期間中では、採集した試料のマイクロサテライトDNAとミトコンドリアのThe cytochrome c oxidase subunit I (CO1)の塩基配列の分析を主に実施した。軟体動物は細胞の特性から目的とするDNAの抽出が常法ではできないため、様々な方法を試し、特に細胞の破砕については、液体窒素を用いる方法が有効であることを明らかにした。実際この方法は極めて画期的であり、今後の軟体動物の生物地理学的研究におおいに貢献することとなった。 この方法から抽出に成功したミズダコの塩基配列を140個体について分析し、これらの情報からミズダコの個体群構造を解析した。その結果、ミズダコは明確な4個体群に分けられた。日本周辺の個体群、アメリカ沿岸の個体群はひとつにまとまったが、ロシアの個体群は2集団に分かれた。この結果は従来の海洋学的知見とよく合致した。より小さな個体群構造については、マイクロサテライトの塩基配列を慎重に分析して、今後明らかにする予定である。
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