2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05710
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
坪井 泰住 京都産業大学, 先端科学技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
POLOSAN Silviu Pavel 京都産業大学, 先端科学技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 負金属イオン / 色中心 / 電界着色 / 近赤外発光 / イオン結晶 / 発光 |
Research Abstract |
イオン結晶中の負鉛イオンPb(-)の光学特性を調べるため,電界着色法を用いてKBr結晶でのPb(-)の生成を試みた。Pb^<2+>イオンのみを入れたKBr結晶で試みたが高濃度のPb(-)は生成されなかった。Ca,Ba,またはSrイオンを共添加して電界着色を行うとPb(-)が生成した。しかし同時にF中心などの色中心が生成され,Pb(-)の特性を明らかにすることが困難であった。Pb(-)のみを生成するため,通常の電界着色法とは異なる250℃,8x10^4V/cmの低温度高電界のもとで行った。その結果測定可能なPb(-)濃度が得られた。この結晶について光吸収,磁気円二色性吸収,発光のスペクトル,蛍光寿命を10Kから290Kの温度領域で調べた。発光スペクトルは300-1650nmの領域で測定した。Baを共添加した結晶では900,1300,および1600nmに発光が観測された。1300および1600nm発光強度は900nm発光に比べてかなり大きい。Pb(-)は450nmと600nmに吸収帯をもち,いずれの吸収帯で励起してもこれらの近赤外発光が得られた。この可視域での吸収帯のピーク波長は共添加したCa,Ba,またはSrの種類により,わずかなシフトが得られた。近赤外発光でもシフトが見られた。Srの場合これらの発光帯が短波長側にシフトし,Caではさらに短波長側にシフトした。このことから,発光中心のPb(-)は,その近傍にはBaイオンなどの共添加イオンが配位し,Pb(-)の電子状態に影響を与えていることが明らかになった。その影響はPb(-)に電子が局在するように働いており,その結果赤外域での強い発光に導いたと解釈された。今回の研究により,負金属イオンPb(-)が近赤外で強い発光を示すことが判明し,実験データについての理論的解析からその発光機構が明らかになった。
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Research Products
(1 results)