2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス新生児の樹状細胞におけるTLR下流のインターフェロン制御因子の活性化
Project/Area Number |
05F05715
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 維紹 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VOLLSTEDT Sabine 東京大学, 大学院医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 樹状細胞 / interferon regulatory factors / Toll様受容体 / インターフェロン / interleukin-12 / マウス新生仔 |
Research Abstract |
本研究では、マウス新生仔樹状細胞(DCs)の活性化の分子機構を明らかにするため、Toll様受容体(TLR)を介するサイトカイン産生能について、とくにTLR下流における重要な転写因子であるinterferon regulatory factors (IRFs)に着目し、その遺伝子欠損マウスを用いて検討した。各種IRF欠損の新生マウスと成熟マウスからマグネティックビーズとセルソーターを用いて、通常の樹状細胞(cDC)と形質細胞様樹状細胞(pDC)を分離採取し、まず、少なくともIRF1、IRF3、IRF5およびIRF7が欠損してもDCsの分化には影響しないことを示した。次にTLR9リガンド刺激によるサイトカイン産生をELISA法によって測定した結果、新生仔pDCsによるIFN-αの発現誘導は成熟マウス由来のpDCsをほぼ同等のレベルでIRF7依存性に行われることが示された。また新生仔cDCsにおけるCpG-BによるIL-12 p40およびp70の発現も、成熟マウスと同等の産生レベルをみとめた。さらにこのIL-12 p40の産生誘導は成熟マウスと同等にIRF-5依存性であることも確認された。以上の結果から、少なくともTLR9によるIFNを含めたサイトカインの産生レベルは、マウス新生仔DCsにおいて成熟マウスDCsと匹敵するほどであることが明らかとなった。しかしながら、CpG-AによるIFN-αやIRF7の発現プロファイルが成熟マウスに比べ、有意に遅延していることが見出され、反応性に何らかの違いがあることが予想された。今後はその分子メカニズムの違いについて検討することを計画している。本研究をさらに発展させることで、将来的には、ヒト新生児に対する効果的なワクチン開発に役立つ分子基盤の解明に結びつくことが期待される。
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