2006 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類のシラミと共生細菌、およびシラミにより感染する細菌の進化史
Project/Area Number |
05F05719
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
景山 節 京都大学, 霊長類研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEO Natalie 京都大学, 霊長類研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 霊長類 / チンパンジー / シラミ / 共進化 / 寄生生物 |
Research Abstract |
霊長類の寄生生物であるシラミは宿主であるサル類の進化にともなって自らも進化を繰り返してきた。このことはシラミが生存していくために宿主の生体機構に適応してきたためである。この霊長類とシラミの共進化は寄生生物と宿主の関係を明らかにしていくためのモデルとして優れているとともに、シラミの進化を明らかにすることにより霊長類の進化をたどることもできる。本研究では以下のことを目的とした。チンパンジー、ニホンザルなど類人猿やサル類、およびヒトをふくめた霊長類でシラミを採取し、そのDNA分析と分子進化研究から相互の類縁関係とシラミの進化史を明らかにする。このことから霊長類の進化とシラミの進化がどのように進んできたのか、いわゆる共進化が成り立つのか明らかにする。さらに、シラミは霊長類間の接触により伝播するため、宿主より種の多様化はおこりやすいと推測される。そのため各種霊長類とそのシラミについてDNA分析から遺伝子多様性を明らかにする。 そのため、各種霊長類のシラミのDNA分析:チンパンジー、ニホンザル、コモンマーモセットなど霊長類研究所保有の種、およびアフリカのチンパンジーからシラミを採取した。これらのシラミの核遺伝子であるelonngation factor 1-alphaとミトコンドリアのcytochrome oxidase IについてPCR増幅、塩基配列決定をおこなった。塩基配列の比較検討から各シラミの遺伝子レベルでの違いについて解析をすすめ、アフリカのチンパンジーは地域によりシラミの系統に違いがあることを明らかにした。 また世界各地の人類から採取したシラミのDNAを分析し、初期人類のアフリカからの拡散の道筋について議論した。
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Research Products
(1 results)