Research Abstract |
本研究では,肝がん自動検出過程において重要なテーマである「肝硬変のコンピュータの支援診断(CAD)」に関する研究を主に行い,以下に記述するような有用な成果を得た. 肝硬変は病気による主要な死因の1つであり,毎年12,000以上の日本人が肝硬変によって死亡している.アメリカ合衆国では,およそ26,000人が毎年,慢性の肝疾患と肝硬変によって死亡している.このような背景の中で,肝臓MRIイメージングに基づく肝硬変の診断は非常に有効である.肝硬変と非肝硬変の臨床診断には,医師は肝臓のグローバルな特徴と局部の画像特徴,あるいは他の腹部の異常特徴を用いている.そこで,本研究の目的は,肝臓MRI画像から抽出された局部領域のみに基づいて,教師なし分類器のk-平均法を使用して肝硬変と非硬変をコンピュータ自動分類する手法を検討した. 本研究ではガドリニウム造影剤が注入されて撮影されたMRI画像の均衡相を使用している.研究に使用したデータベースは,25症例の肝硬変と49症例の非硬変を含む.各症例の肝臓領域から複数の関心領域を,重なりがないように手動で決定した.そして,各関心領域から14個のテクスチャ特徴量を測定し,モンテカルロ法によって分類に最適なテクスチャ特徴量の組み合わせを探索した.次に,教師なしのk-平均法を使用し,各関心領域を複数のグループに分けた.計算機支援診断,画像解析,およびパターン認識の分野では,教師つき分類法が広い範囲で使用されているが,この方法では,教師信号として"真の病変の状態"を事前に把握する必要がある.しかし,本研究では,このような"真の病変の状態"の使用が不可能であるために,教師なしの分類手法であるk-平均法を選択した,このような有意な特徴をもつk-平均法を用いて,本研究では異なる特徴量の組み合わせの分類結果と肝硬変の診断結果との適合度を検討,考察した.そして,初期的な実験結果から,肝硬変と非肝硬変の分類に関する感度と特異度がそれぞれ72%と60%であることを確認し,教師なしの分類法であるk-平均法は肝硬変と非肝硬変の認識(分類)への適用が可能であることが明らかにした.
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