2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05739
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAVARY Fabien 琉球大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 単為生殖 / アリ / 社会性 |
Research Abstract |
血縁淘汰理論では、個体間の高い血縁関係が利他行動に支えられた昆虫社会を進化させた重要な原動力とされている。しかし、近年その存在が明らかになってきた、アリにおける完全単為生殖(クローン繁殖)する種および個体群では、女王とワーカーの間の分業が二次的に消失したり、コロニー内に利己的な社会寄生者の存在が示唆されたりと、理論的に期待される血縁度と利他行動の関係に疑問を投げかけている。しかし、これらの種では巣間の個体移動等の存在も考えられるため、クローン=コロニー内血縁度1が保証されているわけではない。そこで、とくに日本で多数発見されている単為生殖アリ種(アミメアリ、クビレハリアリ、キイロヒメアリなど)と北米産Platytyrea punctataを材料に、集団構造と血縁関係をマイクロサテライト遺伝マーカーを用いて調査し、種間比較することにより、単為生殖とコロニー内の血縁関係、さらに繁殖に関する分業の進化的な関係を明らかにするのが本研究の目的である。当初予定した北米でのフィールドワークが困難となったため、沖縄島を中心にフィールド採集とそれらを用いた室内飼育を行った。シワアリ属とヒメアリ属に完全単為生殖と思われる新たな材料を研究室内の共同研究により発見した。同時に、夏以降はこの研究の要である日本産単為生殖アリ類のためのDNAマーカー作製をデンマークとの共同研究で進めた。この時期に並行して、アリの単為生殖に関する総説論文を執筆した。また、10月には韓国で開催された国際学会にも出席し成果を発表した。
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Research Products
(1 results)