2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LUCARINI Simone 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光学活性Lewis酸触媒 / ニオブ(V)アルコキシド / 光学活性四座型ビナフトール誘導体 / アジリジン / 開環反応 / ジアミン |
Research Abstract |
本研究は、これまでにLewis酸としてほとんど活用されてこなかった金属元素であるニオブやバナジウム、タンタル、モリブデンなどに着目して、それらを不斉配位子と組み合わせることによって新しい光学活性Lewis酸触媒を創製し、その特徴を活かした触媒的不斉反応を開発することを目的としている。その一端として既に当研究室では、ニオブ(V)アルコキシドと光学活性三座型ビナフトール誘導体とから調製したLewis酸触媒が、触媒的エナンチオ選択的Mannich型反応において有効に機能し、高い立体選択性が得られることを明らかにしている。またこれを発展させて、ニオブ(V)アルコキシドと光学活性四座型ビナフトール誘導体とを組み合わせると、メソエポキシドの窒素求核剤による開環反応が、高いエナンチオ選択性を持って進行することを見出している。 そこでこれらの知見を基に、本研究では類縁反応であるアジリジンの窒素求核剤による触媒的不斉開環反応へと展開することとした。この種の反応はこれまで数例しか報告されておらず、非常に意義深いもと考えられるからである。アジリジンの窒素上の置換基や、触媒調製法、反応条件を種々検討した結果、本反応が円滑に進行し、良好なエナンチオ選択性を持ってジアミン生成物が得られることを明らかにした。興味深いことに、本反応の触媒系はエポキシドの反応において有効であったニオブ触媒を基礎にしているにも関わらず、エポキシドとは異なる選択性や基質依存性が発現するという知見を得ている。現在、更に効率的な反応系を達成すべく、反応の改良を進めているところである。 本研究は、Lewis酸触媒の新しい可能性を拓くものである。
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