2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05760
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡慶次 睦範 九州大学, 大学院理学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUTCHINSON Neil 九州大学, 大学院理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 潮間帯 / 群集 |
Research Abstract |
(1)亜熱帯性岩礁潮間帯における可動性捕食者の生態を調べるため、目視観察、定置網およびトラップを利用した定期調査を九州西岸・天草下島の外洋性岩礁にておこなった。目視観察では20mのトランゼクトを用い、大潮時と小潮時の両方で実施した。満潮時には、スノーケリング調査をおこなった。10分間の観察を一単位とし、観察対象の動物の行動を妨げないよう細心の注意を払い、夜間の観察では赤外線ライトを利用した。定置網およびトラップによる調査は、目視観察を補完するために行い、特に定置網は設置場所として問題のある岩礁潮間帯で利用するために、試行錯誤によるデザイン開発を必要とした。高さ3mの定置網を干出時に設置し、上げ潮時から満潮時にかけて移動する動物を採集した。また、網に掛かりにくい動物は、トラップによる採集により補填した。 (2)岩礁潮間帯の潮位0.5mから2.5mの範囲で多くの捕食性動物が記録されたが、魚類、甲殻類および頭足類が個体数で卓越していた。このうち、魚類は満潮時に潮間帯に移動・利用し、タコ類は夜間に活動、十脚類は昼夜両方活動する傾向が見られた。胃内容物の予備調査の結果から、これらの動物がきわめて多岐にわたる食物資源を利用していることが明らかになった。すなわち、岩盤に固着するフジツボ類を含め潮間帯に生息する生物すべて可動動物の食物資源となりうることがわかった。さらに、動物種間で資源利用のパターンに違いのあることが示唆された。また、潮位の変化に伴い、徐々に高潮位に移動しつつ摂食する例も観察された。これら可動性捕食者の多様性が、本調査地における藻類食性貝類のアバンダンスを抑えている可能性がある。
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Research Products
(2 results)