2007 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性桿菌におけるアミノグリコシド耐性メカニズムに関する基礎的・臨床的研究
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05F05764
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
賀来 満夫 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SABTOHEVA Stefana Doneva 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 薬剤耐性遺伝子 / 伝達性プラスミド / 16リボゾームRNAメチル化酵素 / 基質特異性拡張型βラクタマーゼ / 水平伝播 / グラム陰性桿菌 |
Research Abstract |
(1)16SリボソームRNAメチル化酵素を産生する腸内細菌科細菌 ブルガリア国立がんセンターと東北大学病院で臨床分離された計3,814株の腸内細菌科細菌のうち、複数のアミノグリコシドに耐性を示す菌株を選択してPCR法で検索した。その結果、ブルガリア分離株の20株(1.53%)、日本分離株の1株(0.04%)でarmA(16SリボソームRNAメチル化酵素遺伝子)が検出された。検出株の菌種は6種にわたり、PFGEによる遺伝型も様々であったが、armA保有プラスミドの解析では多くの共通点が見られた。この多剤耐性プラスミドは、菌種や国境を越えて存在している可能性が示唆された。 (2)プラスミド伝達性キノロン耐性化遺伝子を保有する腸内細菌科細菌 ブルガリア国立がんセンターで臨床分離された計163株のESBL産生腸内細菌科細菌を対象としてPCR法で検索した。その結果、52株(31.9%)でaac(6')-Ib-cr(プラスミド伝達性キノロン耐性化遺伝子)が検出された。この検出率は既報と比べて著しく高い。菌種は大腸菌が47株を占め、その多くはPFGEの遺伝型が異なる反面、接合伝達菌株ではCTX-M-15型ESBL遺伝子など他の耐性遺伝子が共通して見られる場合が多かった。伝達性プラスミド同士は互いに似た部分を有する場合があることが示された。このほか、qnrB2(別のタイプのプラスミド伝達性キノロン耐性化遺伝子)が7株(4.29%)で検出された。 (3)ESBLを産生する緑膿菌 ブルガリア国立がんセンターで臨床分離された計357株の緑膿菌を対象としてPCR法で検索した。その結果、38株でVEB-1型ESBL遺伝子が検出された。ESBL遺伝子周辺構造を解析した結果は、クラス1インテグロンをはじめ、他国で分離された菌株のものとよく類似していた。耐性菌の国境を越えた拡がりを示唆している結果と考えられる。
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Research Products
(3 results)