2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本近代自由思想の伝統に着眼し,植木枝盛から犬養毅への繋がりを継続・発展において捉え「輸入説」に挑む
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05F05774
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小畑 隆資 岡山大学, 法学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOOS J.A. 岡山大学, 法学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 植木枝盛 / 犬養毅 / 伝統 / 自由民権 / 大正デモクラシー / アジア主義 |
Research Abstract |
平成17年度10月以降の半年間で、ヨース氏の研究室・パソコン・基本文献確保等の研究条件整備と、テーマに即しての以下の研究を行った。この期は、18年度に本格的に研究を展開する上での準備段階として位置づけている。 1、植木枝盛研究に関する日本における研究状況を、何回かにわたって検討した。伝統思想との関連を中心に整理すると、(1)仏教を基本とみる家永三郎氏の研究、(2)陽明学を基本とみる米原謙氏の研究が、これまでの大きな成果であるが、(3)国学・神道との関連、(4)キリスト教との関連については、ほとんど検討されていない。(3)、(4)の検討を通じて、(1)、(2)の研究を問い直すことが、今後の重要な課題となることを確認することが出来た(18年度小畑担当)。また、植木の玄洋社との関連は事実上これまでも触れられてきたことはあるが、それが、彼のどのような思想にもとづいているのかはほとんど未解明であり、植木の「アジア主義」の解明は、今度の重要な課題となることを確認できた(18年度ヨース氏担当)。外国(英語)文献についてはまだ十分に調査検討できていない。早急に具体化したい。 2、家永三郎著『植木枝盛研究』(昭和35年)を、上に述べた関心から、何回かにわたって検討してきた。(1)抵抗権・革命権に集約する形で、植木の政治思想をまとめて論じているため「自由」「民権」といった思想の形成過程が、時間軸に沿って解明されていない、(2)植木のアジア主義の側面については検討されていない、の2点を確認した。 3、犬養毅についての、伝統思想との関連においての本格的な研究はいまだ無いようである。鷲尾義直編『犬養木堂伝』全3巻(昭和13年)を、この春休みからともに読み始めたところである。植木研究との関連もつけた課題設定を、早急に具体化したい。 以上
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