2005 Fiscal Year Annual Research Report
穀物加工食品の風味や嗜好性に影響する微量化学成分の探索と同定並びに成分間相互作用の解明
Project/Area Number |
05F05778
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
松永 隆司 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZENG Zhi 秋田県立大学, 生物資源科学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 米 / 低グルテリン米 / 食品加工 / 香気成分 / ガスクロマトグラフ |
Research Abstract |
普通米品種(H17年・秋田県大潟村産 あきたこまち)および、米タンパク質中グルテリンの割合が小さい低グルテリン米品種(H17年・大潟村産 春陽、LGC-活)の電機炊飯器による炊飯時に発生する香りについて、数人のパネラにより官能評価し違いが存在することを確認した。香りの強さの違いが主であるが香りの質にも差があると指摘するパネラもあり、米に含まれるタンパク質の組成の違いと炊飯中に発生する香気成分との関係が示唆された。 これらの香気成分を、採取し、ガスクロマトグラフによる分析、分子種の同定と官能評価の結果を関係付けるためには、香気成分の採取方法を工夫し、官能評価とガスクロマト分析の同時実施が可能となるような装置が必要である。つまり、加工中の香りの変化を感じた時、その時の香り成分を分析し、それまでの成分との違いを見出す必要がある。 このような操作が可能となる装置を設計し、試作と既存装置の改良を実施中である。 第一は、室温から300度Cまでの温度制御が可能な小型加熱装置をガラス製容器に格納し、米や小麦等の穀物食材に加熱加工を加えながら発生する香気成分を容器内を陰圧にすることにより引き出し、その通路に設置するSPMEファイバーにて吸着する装置の試作である。この装置では、通過した香気成分を同時に官能評価し、ガスクロマトグラフに直結することにより分析もできるようになる。 第二は、SPMEファイバーに吸着させた香気成分を再離散させ官能評価を実施しながらガスクロマト分析が可能となるようにガスクロマト分析装置を改造することであり、これらは現在進行中である。 第三は、第一のガラス容器の代わりに、市販の電機炊飯器を改造し直接香気成分を採取し、ガスクロマト分析を実施する方法である。これらについては現在可能性を検討中である。 穀物に限らず食品の加工中の香気成分の発生は、メイラード反応を中心とする食品中の雑多な成分間の複雑な反応の結果であると想定されている。そこでは、不安定な反応中間物質が多く関与しているといわれ解明は遅れている。本研究においても、官能評価で知覚された状態がそのままガスクロマト分析に繋がり分析されるとは限らない。これを克服するため、連続的な測定によるデータ収集と、分析データと官能評価結果を関連付けるための工夫が必要であり、そのためのデータ解析法についても検討中である。
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