2006 Fiscal Year Annual Research Report
一般型代数多様体の特異ケーラー・アインシュタイン計量とその極小モデルプログラムとの関係
Project/Area Number |
05F05788
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 茂晴 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOUCKSOM Sebastien 東京大学, 大学院数理科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | リーマン・ザリスキー空間 / 体積 / モンジュ・アンペール作用素 |
Research Abstract |
代数多様体又は複素多様体に付随していわゆるRiemann-Zariski空間という,その多様体の双有理モデルの情報をすべて持つような空間がある.本研究では,そのRiemann-Zariski空間の幾何構造,特に凸性とMonge-Ampere作用素の理論の研究により,ある関数空間の増大度を正確に測る方法を開発し以下のような結果を得た. 多様体上の直線束に対して大域切断の次元の増大度を測る量(体積)が,直線束をパラメーターtで動かしたときにその変化がtに関して可微分になること,さらにその微分係数のよい評価があることを示した.また,巨大直線束の幾つかの組と部分多様体に関する交点理論を定式化し,さらにこの方向で以前から知られていた藤田の定理を再証明した.これらは最近大きな進展があった極小モデル理論におけるHacon-McKernanの方法にも通じるところがあり重要である. 複素局面の自己有理写像に対して,そのRiemann-Zariski空間への作用としての持ち上げ写像を研究することで,自己有理写像の反復の次数の増大度を正確に記述することに成功した.これは自己有理写像の軌道の統計的な振る舞いを記述するであろうとされる,極大エントロピーの不変測度を構成する第一歩である.また,多変数複素力学系の研究に代数幾何を背景とした方法をより深く用いるという点で注目されている.
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