Research Abstract |
放射性廃棄物の地層処分や各種エネルギーの地下貯蔵など深部地下の開発において安全性,経済性,環境上の配慮など厳しい設計条件が要求される.そのため岩盤の特性を支配する不連続面の力学・透水特性およびそれらのカップリング特性を適切かつ詳細に把握する必要がある.岩盤不連続面のせん断-透水同時特性において,間隙幅の状況は透水特性に影響を及ぼす重要なパラメータである.そして,間隙幅は垂直荷重の載荷方式に支配的である.そこで,本研究では,垂直応力一定条件(3MPa,5MPa),垂直応力一定条件かつ,上下不連続面を平行に保持した条件(3MPa,5MPa).垂直剛性一定条件(垂直剛性2MPa/mm,せん断前垂直応力3MPa)の3ケースのせん断-透水同時実験を行い,垂直荷重の制御方式が不連続面の間隙幅の状況および,せん断-透水同時特性に与える影響について検討した.その結果,残留域における透水係数は制御方式によらず,ほぼ一定となること,せん断応力がピーク値から減少するとき,不連続面上下の平行性を保持した場合の透水係数がそうでない場合よりも小さくなることが明らかとなった.また,実験的研究と平行してせん断-透水モデルの構築し,上下不連続面凹凸の表面形状のデータからせん断-透水シミュレーションを行った.その結果次のことが明らかとなった.透水シミュレーションに関して,せん断前は水が不連続面内を一様に流れる.その後,ピークせん断応力を示すせん断変位において,大きな蛇行したと透水経路が形成される.上下凹凸の噛み合わせが外れるせん断応力の残留域では,水が不連続面全体を流れることが明らかになった.力学シミュレーションに関して,岩石壁面の粗さの不連続面の力学特性における重要性が再確認された.また,不連続面凹凸高さの平均値,CLV, MSV, Z2を計算し,岩石不連続面の幾何学的特性をうまく指摘することができた.
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