2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管SP細胞の病的リモデリングへの関与とその生理的機能の解明
Project/Area Number |
05F05799
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAINZ Julie Marguerite 東京大学, 医学部附属病院, 外国人特別研究員
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Keywords | 内科 / 老化 / 循環器・高血圧 / 脂質 / 再生医学 |
Research Abstract |
I 研究の目的 ・血管壁内に存在する組織幹細胞を同定する。色素排出法を用いて、Side Population (SP)細胞と呼ばれる幹細胞群を単離する。血管壁由来SP細胞を特徴づけると同時に、生理的ならびに病的リモデリングにおけるその機能的意義を検討する。 II 主要な結果 ・血管SP細胞の細胞周期を調べた。98.9±0.3%のSP細胞は、G0/G1相にあった。8週令においては、野生型マウスでも、ApoE欠損マウスの血管においても類似した数のSP細胞が認められた。野生型マウスでは、加齢に伴い血管SP細胞の数は増加した。ApoE欠損マウスの動脈硬化性血管では、加齢に伴う増加はより顕著であった。 ・動脈硬化病変においてSP細胞が増加する機序におけるABCG2の役割を調べた。PDGF-BB(10ng/ml)添加により血管SP細胞の増殖能は2-3倍増加した。Fumitremorgin Cにより、ABCG2トランスポーター機能を抑制したところ、PDGF-BBによる増殖促進作用は消失した。また、ApoE欠損マウスの動脈硬化性病変を免疫染色で調べたところ、ABCG2陽性細胞の数が増加していた。 ・血管傷害後の狭窄病変形成におけるABCG2の役割を明らかにするため、野生型マウスならびにABCG2欠損マウスを用いて、頚動脈ならびに大腿動脈にカブを留置することで内膜形成を誘導した。4週後に形成された病変を解析したところ、頚動脈においても、大腿動脈においても、ABCG2欠損マウスでは内膜増殖が有意に抑制されていた。 III まとめ ・血管SP細胞の数は、加齢ならびに動脈硬化において増加する。この所見に一致して、ABCG2欠陥マウスでは、傷害に反応した血管病変形成が抑制されていた。以上により、SP細胞の増殖能はABCG2トランスポーターによって抑制されており、血管病変の病態生理に関与していると考えられた。
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Research Products
(3 results)