2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞組織の動的計測のための集積化マイクロ流体デバイスの研究
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05F05804
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 輝夫 東京大学, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PEREIRA Rodrigues Nazare 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 細胞培養 / 電気化学センサ / 細胞毒性計測 / 薬物動態計測 |
Research Abstract |
本研究は、マイクロ流体デバイス内部にセンサアレイ構造を集積化することによって、細胞の動的な挙動とデバイスの内部の状態を計測を可能とするようなデバイスを製作し、具体的な細胞培養実験ならびに毒性・薬物動態試験を行うことを通してデバイスの性能評価を行うとともに、「細胞・組織培養のための」マイクロ流体デバイスに関する基礎技術を確立することを目指したものである。具体的なデバイスとして、培養チャンバーの入口と出口に、微小電極からなるセンサを集積化したデバイスを設計し、培養液中の溶存酸素濃度ならびにグルコース濃度を電気化学的に計測することを想定している。センサは、フォトリソグラフィによる微細加工技術を応用して、ガラス基板上にAg/AgClを材料とした参照電極、金薄膜からなる対向電極ならびに作用電極を形成し、それらを細胞培養のためのマイクロ流路構造の入口部と出口部に、配置することによって、培養された細胞による酸素およびグルコース消費について動的な計測を行う。細胞培養を行うための構造は、シリコーンゴムの一種であるPDMS (polydimethylsiloxane)を材料として、ソフトリソグラフィ法によって製作する。 本年度は、最初の段階として、デバイス内部に配置するセンサ単体、すなわち酸素センサならびにグルコースセンサを実際に試作し、PDMS製の流路内に配置して、オンライン計測実験を実施した。酸素センサの電極部については、ガス透過膜であるナフィオン膜で被覆することによって、その検出感度と応答性の向上をはかることとした。また、グルコースセンサの電極部については、ナフィオン膜内にグルコースオキシダーゼを固定化することによって、酵素を安定化した状態で計測が行える方法を用いた。これらそれぞれのセンサについて、酸素あるいはグルコースの濃度を変化させながら計測を行ったところ、線形な出力が得られ、また培養液を灌流させた条件下でも十分な精度を持って計測可能であることが確認された。 一方、グルコースセンサと酸素センサは原理的にクロストークを起こす可能性があることが予想されるため、これを回避する方策考える必要がある。そのために、デバイス内部の流路をいったん2本に分岐させ、それぞれの流路にセンサを配置することによって、クロストークを避ける構造を考案し、この構造を用いた計測実験を開始した。これによって、酸素とグルコースに関して連続的かつオンラインでの濃度計測が可能になると考えられる。
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Research Products
(3 results)