2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然言語の音声学的分析ならびに談話分析を対照言語学の立場から進める
Project/Area Number |
05F05806
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三谷 惠子 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
UNUK Drago 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ダイクシス / 指示代名詞 / 南スラヴ語 / スロヴェニア語 |
Research Abstract |
本年度は機能言語学的立場からの対照言語研究ということに焦点をあて、日本語、ならびにスロヴェニア語をはじめとする南スラヴ諸語の指示代名詞の機能について研究した。 三谷は、日本語でも、スロヴェニア語やクロアチアなどの南スラヴ語でも、一見したところ「近・やや遠・遠」の区別を示すような3種類の指示代名詞があることに注目し、その機能をさまざまな文脈での実例から検討した。そして、日本語と南スラヴ語が平行関係になる場合と、そうでない場合、具体的には、日本語で「あれ」が使用される場合に、南スラヴ語では「それ」に該当する指示詞が用いられるような場合があることから、日本語における「こ・そ・あ」の3指示詞体系が、主として「話者・聞き手・第三者」の談話上の区別に対応して用いられるのに対して、スロヴェニア語やクロアチア語の3指示体系は、「話者/聞き手にとって近い・やや遠い・遠い」という物理的ならびに心理的距離に応じて使い分けられていうことを明らかにした。またこれらの指示代名詞の体系が南スラヴ語の中でどのように形成されてきたかについての通時的考察もあわせて行った。この成果はDynamis 10号(編集作業中)に発表する予定である。 Unuk研究員は、ダイクシスという概念がどのようなものであるかについての基礎的な研究を行い、ダイクシスに関わる要素として、指示、話者や聞き手という談話上の役割、時制の概念などが重要にかかわるという知見を得た。その要点は、三谷の解説を添えて同じくDynamis10号に発表する予定である。
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Research Products
(2 results)