2007 Fiscal Year Annual Research Report
東ヒマラヤにおける農業生物多様性保全に関する研究:伝統的な在来知識と持続的生活の視点から
Project/Area Number |
05F05821
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 耕司 Kyoto University, 地域研究統合情報センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHARMA Ghanashyam 京都大学, 地域研究統合情報センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 東ヒマラヤ / シッキム / 持続的農業 / 農業生物多様性 / 在来農業 / 農林複合システム |
Research Abstract |
生物多様性保全に関わる世界の「ホット・スポット」の一つである東ヒマラヤから東南アジア大陸部にかけての山地を対象に、この地域における在来農業生態系の持続的管理に向けた国連大学の共同研究に参画して以下の研究を実施した。 1)農林複合システムにおける持続的土地利用の研究:昨年度に続いて2007年4月にインド、シッキム州での調査を実施し、同地方特産のカルダモン栽培におけるこのシステムの持続性に関わる分析を農業生態ならびに社会経済の視点から行った。混栽されるハンノキ属の樹木Himalayan alder(Alnus nepalensis)の窒素固定作用による栄養補給、およびシッキムの特産物となっているカルダモンの市場価値という両側面からその持続性を検証した。このテーマについては、計4編の共著論文(うち3編はfirst author)を完成させ、現在、国際学術誌に投稿され審査中である。 2)東ヒマラヤと東南アジア大陸部山地の自然資源管理に関する比較研究:国連大学と雲南大学、チェンマイ大学、ラオス農林省等との共同研究の一環として、2007年8月に中国雲南省で短期比較調査を行った。とくに商業化の進展のなかで変容しつつある在来農業システムの持続性を検討し、斜面耕作、山地の土地利用など共通の特徴をもつシッキム農業との比較を行った。このテーマに関連する論文として、単行本所収論文2編を発表し、また昆明で開催された2つの国際集会において口頭発表を行った。 2007年9月および10月に長野県中山間地に展開する棚田稲作の調査を行い、同様の棚田システムを有するシッキム地方との比較を視野に、棚田と里山との有機的結合および入会地管理の歴史と現状を調査した。これらの日本での観察は、今後のシッキムでの自然資源管理の実践に活かされることになろう。
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Research Products
(4 results)