2005 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウム酸化物及び銅ルテニウム酸化物の合成と物性測定
Project/Area Number |
05F05859
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
室町 英治 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料研究センター, ディレクター
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALBERTO UBALDINI 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ルテニウム銅酸化物 / 高温超伝導 / 高圧合成 / 強磁性 |
Research Abstract |
本課題では、ルテニウム酸化物、ルテニウム銅酸化物系を中心とする遷移金属酸化物系の合成、単結晶育成、物性測定を実施する。具体的な物質系は、RuSr_2RECu_2O_8(Ru-1212)及びRuSr_2(RE,Ce)_2Cu_2O_<10>(Ru-1222)(REは稀土類元素)等である。これらの系について、種々の稀土類元素に関して良質の試料の作成を試み、この系に特有とされる強磁性と超伝導の共存の有無を検討することが目的である。特にRE=Tbの相は常圧合成では取得できず、高圧環境が必要な系であるため、十分な検討が行われていなかった。そのため、本年度はRE=Tbの場合を詳細に検討した。 合成としてはRuO_2,SrO_2,Tb_3O_7,CeO_2,CuO,Cuを出発物質として、6GPa、1200℃-1550℃の高温・高圧下において、RuSr_2Tb_<1.5>Ce_<0.5>Cu_2O_<10>の良質試料の作成を試みた。その結果、単一相は1350℃から1500℃の狭い温度領域で作成できることが明らかになった。最適条件は1450℃で3時間処理するというものであった。これらより低い温度では、TbSr_2RuO_6、RuSr_2TbCu_2O_8などの不純物相が混入してしまう。また、1500℃を超える温度では、1222相の分解が起こることも明らかになった。 合成された1222相は空間群I4/mmmに属する。直流磁化率の測定によると、この物質は約155Kで強磁性への転移を起こすことが明らかになった。この点移転はY-1222系に比べて50K程度高い。一方、1222系で報告されている超伝導と磁性の共存については、明瞭な超伝導転移が観測されず、現段階でははっきりしていない。現在この点を検討中である。
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