2005 Fiscal Year Annual Research Report
嗅神経前駆細胞の増殖、分化機構、および多能性に関する研究
Project/Area Number |
05F05863
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
RAJ Ladher 独立行政法人理化学研究所, 感覚器官発生研究チーム, チームリーダー
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PASCHAKI Marie 独立行政法人理化学研究所, 感覚器官発生研究チーム, 外国人特別研究員
|
Keywords | 嗅覚器誘導 / レチノイン酸 / 培養技術 |
Research Abstract |
この研究の目的は、ニワトリとマウスの嗅覚プラコードの発生を運命づける細胞間・分子間相互作用を解明することである。嗅覚プラコードは、一連の未知の分子・細胞シグナルを受けた非神経外胚葉より形成される。しかし、嗅覚プラコードの発生機構、すなわち、嗅覚プラコードが初めて形成されるのはいつであるのか、その周りにどのような組織があり、その組織間の相互作用がどのようなものなのかといった基本的なことすらも未だ解明されていない。パスチャキ氏は、この嗅覚器誘導の基本を解明し、氏の立てた仮説を検証する最善の手法を確立すべく実験を行った。 氏はまず、組織培養で嗅覚プラコードを発生させる為の最適条件を与える複数の化学物質を補充することにより、効率的で再現性の良い嗅覚プラコード培養の手法を確立した。そして、この手法を用いる事により我々は、嗅覚プラコードが成長し分化する為の必要条件を多数確定した。さらに氏は現在この培養法を用い、幾つかの候補となる組織あるいは分子が嗅覚器の発生に与える影響を調べている。氏は分化、具体的には、ニューロンと嗅覚幹細胞の出現が始まるのは、嗅覚プラコードが或る特定の時期以降に摘出された場合に限るということを発見した。また、嗅覚プラコードの分化にはレチノイン酸が必要であることを確認した。これらのデータは、嗅覚器発生の二段階方式を示唆している。第一段階は誘導の段階。そして第二段階は、レチノイン酸の媒介を受けて分化する段階である。
|