2006 Fiscal Year Annual Research Report
多核NMRおよび多次元NMR法の開発と天然有機化合物の構造解析への応用
Project/Area Number |
05F05865
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
越野 広雪 独立行政法人理化学研究所, 物質構造解析チーム, チームリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALON Michal 独立行政法人理化学研究所, 物質構造解析チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | 多核NMR / 三重共鳴 / 遠隔結合 / 構造解析 / 天然有機化合物 |
Research Abstract |
ポリフェノール化合物や抗酸化物質には多置換の芳香環が存在する天然有機化合物が多い。それらの化合物ではNMRを用いた構造解析において^1H-^<13>Cの遠隔結合の有益な相関が少なく、明確な構造解析が困難な場合があり、新しい解析手法が必要とされている。フェノール性水酸基やカルボシキル基などに適当な多核(^<15>N,^<29>Si,^<31>Pなど)を含む置換基を導入することにより、多核を介した^1H-^<13>Cの遠隔結合のNMR情報を得る事は極めて有用であると期待されており、多核のX核を利用した^1H-(X)-^<13>Cなどの三重共鳴のNMR法の開発と応用研究を目的とした。昨年度に引き続き、ロングレンジの^1H-(^<31>P)-^<13>CおよびH-(^<13>C)-^<31>P相関NMR法でINEPT-HMQC法とINEPT-INEPT法に関して、磁場勾配パルスの位置と強度、スピンロックパルスの有効性、位相回しの改良を検討し、t1ノイズや不要信号が出ない2次元相関NMRスペクトルを天然存在比で得られる条件を見い出した。さらに、^<31>P核を^<29>Si核に変えた、^1H-(^<29>Si)-^<13>Cおよび^1H-(^<13>C)-^<29>Si相関2次元NMR法に関して検討した。フェノールのシリルエーテル誘導体における^2J_<C,Si>, ^3J_<C,Si>は2.5-1.0Hz程度と小さな値であるが、磁化移動に利用可能でありt1ノイズを抑えた良好な結果を天然存在比の試料でも得られることを明らかにした。天然有機化合物のモデルとしてellagic acidのテトラ-tert-ブチルジメチルシリルエーテルを調整し、^1H-(^<29>Si)-^<13>Cのロングレンジ相関を測定したところ良好な結果が得られた。開発した三重共鳴2次元NMR法の一般性を調べる目的で他のスピン1/2の多核として^<15>N,^<77>Seについても検討し、天然存在比が低い^<15>Nではさらなる最適化が必要であるが、基本的に天然存在比でこれらの多核も利用可能である事を明らかにした。
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