2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるQoI剤耐性うどんこ病菌の分子生物学的スクリーニング方法の開発
Project/Area Number |
05F05868
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
石井 英夫 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 上席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FOUNTAINE James Michael 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | ウリ類うどんこ病菌 / イチゴうどんこ病菌 / 薬剤耐性菌 / 遺伝子診断 / ストロビルリンン系薬剤 / リアルタイムPCR法 / PCR-Luminex法 / PCR-PFLP法 |
Research Abstract |
環境負荷の少ない天然物をリード化合物とするQoI剤は、今日世界で最も重要かつ汎用される農業用殺菌剤の1つっである。しかし、諸外国同様我が国でもいち早くQoI剤耐性菌が出現し、農業環境とりわけ微生物相の撹乱と薬剤効果の低下が問題になっている。そこで本研究では、人工培養が出来ないために薬剤耐性の検定に困難を極めている重要病原菌、ウリ類うどんこ病菌とイチゴうどんこ病菌を対象に、QoI剤耐性の分子機構解明に基づいて耐性菌の迅速な遺伝子診断法を開発する。これにより耐性菌の早期診断法が農業現場に近い各地の試験場や病害虫防除所等に普及し、耐性菌のモニタリングによる被害の発生回避が期待できる。 18年度はイチゴうどんこ病菌について、QoI剤耐性の有無をリーフディスク法等によって調べ、耐性菌が広く分布することを明らかにした。また、耐性菌と感受性菌について、QoI剤の作用点たんぱく質であるチトクロームbの遺伝子をPCRによって増幅、クローニングの後、塩基配列を解析した。その結果、薬剤結合部位に相当するコドン143にアミノ酸置換を伴う耐性変異を見出した。イチゴうどんこ病菌におけるこの耐性変異の定性的診断手法を検討し、PCR産物の制限酵素処理と電気泳動によるPCR-RFLPやリアルタイムPCRによって検出することを可能にした。 しかし、コピー数がすこぶる多いチトクロームb遺伝子には、QoI剤耐性変異遺伝子と野生型(薬剤感受性型)遺伝子が種々の割合で混在する、ヘテロプラスミーの現象がしばしばみられた。これは、ウリ類うどんこ病菌や灰色かび病菌でも同様であった。そこで、耐性変異の定量的診断手法について今後更に検討する。
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