2007 Fiscal Year Annual Research Report
アイスランドのマントルは水に富むか?ガラスマトリックスと包有物の化学組成をつなぐ
Project/Area Number |
05F05869
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
巽 好幸 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, プログラムディレクター
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NICHOLS A.R.L. 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | メルト包有物 / FTIR / マントルプルーム / アイスランド / 揮発性元素 |
Research Abstract |
マグマに含まれる揮発性元素の含有量を測定し、これを基にアイスランドマントルプルームの起源物質とマグマ生成過程を調べた。火山岩中のガラスの水の含有量は、水と同じ分配係数を持つ元素と比較して少なく、マグマが脱水の影響を受けていることを示唆する。そこで、マグマ中の水の含有量を正確に決定するためにオリビン及び斜長石中のメルト包有物中の水の含有量を測定し、あわせて包有物の主成分、微量成分元素組成を123個の包有物に対して決定した。各オリビン及び斜長石について少なくとも一つはCO_2を含む包有物が見つかり、これらの包有物はマグマが脱ガスの影響を受ける前に取り込まれたことを意味している。これらの包有物のCl/K比から、メルト包有物の元になったマグマは地殻の混染を受けていないことが示され、メルト包有物は真にマグマの情報を保持していることが分かった。これらのメルト包有物はH_2O/K_2O比及びH_2O/Ce比に大きなばらつきが見られ、それはマグマの脱ガスだけでは説明できないことから、複数のマグマソースがアイスランドのマグマの生成に寄与していることが示された。これまでアイスランドのマグマソースは水に富んでいると考えられてきたが、今回の研究により水に乏しいマグマソースが見出されたことが新しい発見である。水に富んだマグマソースと水に乏しいマグマソースの割合は、Reykjanes Ridgeに沿った位置に対して系統的に変化していることも分かり、アイスランドマントルプルームの構造を明らかにする手がかりを得ることができた。 これらの成果をもとに執筆した3本の論文が国際誌に受理されたほか、さらにいくつかの論文を執筆した。またIAVCEI2008などの国際学会においても成果を発表する予定でいる。
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Research Products
(3 results)