2005 Fiscal Year Annual Research Report
層状無機ホストの二次元層間における有機色素分子間での非等方的で無輻射なエネルギー移動の研究
Project/Area Number |
05F05870
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井伊 伸夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CZIMEROVA Adriana 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | エネルギー移動 / レーザー色素 / スメクタイト / 層状無機化合物 / ナノコンポジット |
Research Abstract |
有機レーザー色素が無機層状化合物の表面に吸着した有機無機ナノコンポジットは、光化学的な応用の点でたいへん興味深い。今回、無機の層状化合物としてスメクタイトの1つであるスメクトン(合成サポナイト)を用い、スメクトン懸濁液中において、2種類の陽イオン性の有機レーザー色素(ローダミン6Gとオキサジン4)を加え、懸濁液中のスメクトン表面に吸着したこれらの色素間の蛍光共鳴エネルギー移動について研究を行った。ローダミン6Gの蛍光発光波長はオキサジン4の吸収波長と重なっており、エネルギー移動が起こりうる系である。スメクタイト懸濁液中での色素の相互作用については可視光分光法ならびに蛍光分光法で調べた。スメクタイトの存在によって色素の分光スペクトルにほとんど影響は見られなかった。これは、スメクタイトの低い層電荷密度によるものと考えられる。また、2つの色素を混合した水溶液においては、ローダミン6Gの吸収波長で励起した時、単にローダミン6Gの蛍光が観察されたのみで色素間のエネルギー移動は起こらなかった。しかしながら、スメクタイト懸濁液中では、ローダミン6Gの蛍光が抑制され、オキサジン4の蛍光が観察された。このことより、2つの色素間でエネルギー移動が効率よく起こったことがわかる。エネルギー移動が効率よく起こるのは、色素の濃度が両者とも10^<-5>Mの時であった。より薄い濃度では、2種類の色素の分子間距離が離れすぎてエネルギー移動ができなかったためであろう。また、より高濃度では、Hタイプの色素の凝集体ができるためと考えられる。また、固体系では界面活性剤が蛍光強度を増大させることが知られているが、今回の系では影響は見られなかった。今回は、懸濁液における色素間のエネルギー移動であったが、今後、材料化を目指し完全な固体系でのエネルギー移動を調べる予定である。
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Research Products
(3 results)