2006 Fiscal Year Annual Research Report
層状無機ホストの二次元層間における有機色素分子間での非等方的で無輻射なエネルギー移動の研究
Project/Area Number |
05F05870
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井伊 伸夫 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質センター, 主席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CZIMEROVA Adriana 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質センター, 外国人特別研究員
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Keywords | エネルギー移動 / レーザー色素 / 蛍光発光 / 粘土層間 / ローダミン |
Research Abstract |
本研究の目的は、無機層状化合物の2次元層間に包接された機能性色素間でエネルギー伝達を行う系を構築し、その条件について明らかにすることにある。17年度においては、合成サポナイト(スメクトン)懸濁液中における2種類のカチオン性レーザー色素(ローダミン6Gおよびオキサジン4)の蛍光共鳴エネルギー移動現象(ローダミン6Gからオキサジン4へのエネルギー移動)を調べ、単なる2つの色素の混合溶液では、生じないエネルギー移動がサポナイト共存下で起こり、また、エネルギー移動が生じるためには、最適な濃度条件があることを明らかにした。18年度はさらに、懸濁液中および配向性薄膜の2つの系において実験を行った。17年度の実験によりローダミン6Gの消光性が問題であったため、今回はローダミン6Gよりも自己消光しにくいローダミン3Bをドナーに選び、アクセプターのオキサジン4との2種類のカチオン性レーザー色素のエネルギー移動について研究を進めた。エネルギー移動は、紫外可視分光および蛍光分光法により調べた。その結果、エネルギー移動の効率は、エネルギードナーとアクセプターの濃度が重要であることがわかった。懸濁液中においては、濃度条件を最適化すればエネルギー移動が起こる。一方、会合による蛍光消光は、特に固体の配向性薄膜において問題であり、この会合を抑止するため親油性のアルキル鎖を持つ界面活性剤のアルキルアンモニウムイオンでサポナイトを修飾する必要があった。特にオキサジン4は、高濃度において蛍光発光性のない会合体(H会合体)を作る傾向が強いがこれは、濃度を減少させる事によってさらに蛍光発光性を改善することが出来た。このようにして作製した薄膜においては、懸濁液中よりも効率において劣るものの、明らかなローダミン3Bからオキサジン4へのエネルギー移動が起こることが証明された。 現在、これらの成果についても国際誌に投稿中で、審査結果を待っているところである。
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Research Products
(2 results)