2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05872
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
近藤 亨 独立行政法人理化学研究所, 分化転換研究チーム, チームリーダー
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EKBLAD Caroline Maria Sofie 独立行政法人理化学研究所, 分化転換研究チーム, 外国人特別研究員
|
Keywords | 神経幹細胞 / 染色体構造変換 / ヒストン修飾 / 転写因子 / 未分化維持機構 / 分化制御機構 |
Research Abstract |
近年神経幹細胞(NSC)が成体脳にも存在し神経系機能細胞を生み続けていることが発見され、再生治療への適用が期待されてきた。しかし成体NSCは少数なうえに脳深部の特定領域にのみ存在することから内在NSCを用いた治療法は困難であると予測され代替法の開発が期待されている。受入研究者は成体脳の様々な領域にも豊富に存在するオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)が特定の培養条件により多分化能を有するNSC様細胞へ脱分化することを見出した。更にNSCマーカー因子sox2を指標に脱分化過程でのエピジェネテイクス変化(ヒストン修飾の変化、SWI/SNF染色体構造変換因子の働き)を明らかにしている。エピジエネテイクス変換は体細胞核リプログラミングの中心機構であると示唆されておりその制御機構の解明は学問的重要性に加え新規再生治療法の創出に繋がるものと考えられる。本研究課題においてEkblad博士は3つの研究課題を遂行している。(1)テトラサイクリン依存的にFLAG標識したSWI/SNF複合体因子Brmを発現するNSCを作成した。現在抗FLAG抗体カラムおよびsox2エンハンサー領域を含むオリゴカラムを用いBrmを含むSWI/SNF複合体の精製を試みている。(2)当研究室で見つけたsox2発現制御DNA結合因子をFLAG標識しテトラサイクリン依存的に発現を誘導出来るベクターを構築した。上記同様にFLAG標識した転写因子を誘導発現できるNSCの作成を試みている。(3)エピジェネティクスと神経系細胞分化について既存の因子の発現をRT-PCR法および免疫染色法を用いて検討を行いオリゴデンドロサイト分化過程でヘテロクロマチン制御因子(HP1alphaとbeta)とメチル基転移酵素(Dnmt)の発現が消失することを見いだした。しかしニューロンおよびアストロサイト分化過程でこれら因子の発現に変化は見られなかつた。この結果はオリゴデンドロサイト分化に伴い全染色体レベルで構造変換が起きていること、幹細胞機能維持にヘテロクロマチン維持が重要な働きを担っていることを示唆している。
|
Research Products
(6 results)