2006 Fiscal Year Annual Research Report
水処理プロセスによる農薬,芳香族化合物の分解に関わる微生物の分離培養と性質解明を行う。これらの知見を
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05F05874
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鎌形 洋一 独立行政法人産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門, 部門長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Yu 独立行政法人産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 微生物群集 / 多様性 / Degenerated PCR / クローン解析 / フェノールヒドロキシラーゼ |
Research Abstract |
昨年に引き続き、微生物群集における化学物質分解遺伝子の多様性と微生物種の多様性を解析することによって、群集構造と機能の相関を明らかにする研究を行った。本年度は環境中で有害物質として認知されているBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)の分解に関わるモノオキシゲナーゼの微生物群集における多様性を明らかにするために変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)による解析を行った。機能遺伝子解析に応用するにあたっては従来群集全体からDNAを抽出し目的遺伝子をPCRで増幅、塩基配列を決定するという煩雑な操作が必要だった。なぜならば通常のDGGEでは特定の機能遺伝子情報から縮退プライマーをデザインする必要があり、このことが非特異的なバンドの生成や不明瞭なバンドの生成を引き起こしていたからである。この間題を解決したDGGE法を行うために、CspC1と呼ばれる制限酵素の認識配列をあらかじめ縮退プライマーの端末につなげ、PCRを行ったあとの制限酵素処理後の消化物をDGGEに供するという、まったく新しい方法を開発した。この方法の有効性を立証するために、まず、12の既知の微生物のゲノムからモノオキシゲナーゼを縮退プライマーによって増幅し、CspC1処理を行いDGGE解析を行ったところ明瞭なバンドを得ることができた。次に本手法を用いて活性汚泥、霞ヶ浦の底泥、油田排水の試料からDNAを抽出し、同様の方法でDGGEを行った。その結果、きわめて明瞭なバンドが得られたとともに、油田の排水試料からは多様なモノオキシゲナーゼの存在を示唆する多数のバンドが得られた。今後本手法を他の機能遺伝子の検出と多様性解析にも適用する予定である。
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