2006 Fiscal Year Annual Research Report
微視金属組織及び局所結晶方位分布の視点に基づく局所せん断帯の発生と進展に関する研究
Project/Area Number |
05F05879
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
津崎 兼彰 独立行政法人物質・材料研究機構, 新構造材料センター, センター長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DORNER Dorothee 独立行政法人物質・材料研究機構, 新構造材料センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 変形組織 / せん断帯 / 粒界構造 / 柱状晶 / 双結晶 |
Research Abstract |
昨年度の多結晶Fe-3Si合金を用いたミクロせん断帯の形成機構解析結果をより精緻に解析するため、本年度は粒界構造を制御した柱状晶および双結晶を用いてミクロせん断帯の形成機構を検討し以下の新たな知見を得た。 1.Fe-3Si合金柱状晶を用いた実験では、室温での圧縮変形により粒界近傍でバンド状変形組織が発達し、そのバンド組織は粒界にステップを作るとともに、そのバンド内部には周期的な局所方位回転が生じていることが明らかとなった。その方位回転した領域には数百nm径の超微細粒も生成していることが観察された。マトリックスに対する方位回転領域ならびに超微細粒の結晶方位回転軸は共通していた。このバンド状変形組織内における方位回転機構を二つのすべり帯における転位運動の観点から考察した。 2.Fe-3Si合金双結晶を用いた実験では、方位の組み合わせが異なるいくつかの双結晶を用いた実験を行った。この双結晶変形挙動をまずマクロ的にテイラー因子で予測し、変形に対して方位回転が生じる粒(unstable)と生じない粒(stable)に分類した。圧縮変形方向が粒界と平行の場合のうちのひとつの場合において、室温での圧縮変形により粒界近傍で特徴的な二種類の変形組織が発達した。ひとつは柱状晶で見られたバンド状組織であり、もうひとつは楔状組織である。前者は同じ方位を持つ単結晶でも発達することから粒界拘束の影響は小さいと考えられた。後者は、同じ方位を持つ単結晶では生じないことから粒界拘束(あるいは隣接粒の変形組織)の影響を受けて生じたものと考えられた。同じ結晶方位を持つように双結晶のそれぞれの方位を選択した上で、粒界と圧縮変形方向の角度が変形組織に及ぼす影響についても研究に着手した。 3.粒界近傍における変形組織を理解する上で、粒界近傍における弾性ひずみ分布を明らかにすることは重要だと考え、電子線後方散乱法(EBSD)を用いて局所的な弾性ひずみの定量的測定に関する検討を、Willkinson法に注目して、進めている。
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Research Products
(7 results)