2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05903
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木下 一彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PALANISAMI Akilan 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 磁気ピンセット / 磁気ビーズ / F1-ATPase |
Research Abstract |
F_1-ATPaseのATP加水分解に伴う回転の機構を調べるため、回転力(トルク)の回転角依存症を精密に測ることを試みている。F_1の回転子に磁気ビーズを付け、その向きを電磁石で制御しつつ(磁気ピンセット)、磁力との釣り合いからトルクを見積もろうと言うものである。 これまで使ってきた磁気ピンセットは、2ないし3対の磁極を用い、各対の発生する磁力の割合を変化させることで、磁場の方向を変化させていた。磁場の方向を高速に変えられるという利点はあるが、磁場の方向や強度の精度に問題があり、精密な磁気ビーズの制御が難しかった。 そこで、1対の磁極を、回転ステージにより物理的に回転させることにより磁場の方向を変化させる磁気ピンセットの開発を行った。F_1の回転力測定に特に重要な、磁場の方向の制御精度および安定性が、従来のシステムに比べ向上した。また、従来の磁気ピンセットでは磁極を試料の上方に配置していたため、磁気ビーズの向きが制御されるだけでなく、ビーズを上方に引っ張るような力も加わっていた。そこで、試料がちょうど対向磁極間の中央に来るような、新たな試料台の作成も行った。 磁気ビーズの角度検出の精度をあげるため、これまで我々が用いてきたビーズ重心の軌跡から回転角を見積もる方法に代えて、ビーズの形状を利用した角度算出法とビーズ重心の方法を組み合わせて用いる新たな解析法を開発した。 以上のシステム、角度検出法を用いて、F_1-ATPaseのATP加水分解に伴う回転力の測定を行った。まだ、予備的測定の段階ではあるが、この方法により、回転時のビーズに対する粘性抵抗から求められた回転力(従来法)と同じオーダーの回転力が得られた。回転力の角度依存性に関しては、まだはっきりと述べられる段階にない。 今後、回転時に回転ステージから発生する振動の除去を行うなどして、より精度の高い測定が可能になると考えている。
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