2005 Fiscal Year Annual Research Report
積雪放射伝達モデルの高精度化,及び雪氷圏リモートセンシングへの応用
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05J00016
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷川 朋範 北見工業大学, 工学部土木開発工学科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 積雪 / 反射率 / アルベド / 衛星観測 / 放射伝達モデル / 分光測定 / 非球形粒子 / 積雪物理量 |
Research Abstract |
1.低温実験室において球形粒子と非球形粒子(樹枝状粒子)の人工積雪をつくり,波長域0.35-2.5μmにおいて分光器による波長別アルベド測定をおこなった.この低温実験室の構造をモンテカルロモデルで再現し,観測値と理論計算値の比較を行った.理論計算では球形粒子にはMie理論,樹枝状結晶粒子には円柱モデルを適用した.その結果,モデル計算で光源,雪面,センサの幾何学的条件の影響を定量的に再現することができた.また非球形粒子の効果がアルベドに与える効果は非球形粒子の体積と表面積の比(V/A比)を求め,同じV/A比を持つ球形粒子で置き換えることができることを確認した.さらに,積雪粒子が凝集した効果はMie理論で計算したアルベドよりも数%減少させることを確認した.この結果,粒子が凝集した効果はそれを構成している個々の粒子よりもわずかに大きな粒子として扱えることがわかった. 2.新雪とざらめ雪の雪面に対する双方向反射率を測定し,非球形粒子による双方向反射率モデルの理論計算値と比較した.その結果,新雪では積雪粒子として円柱モデル,ざらめ雪では回転楕円体モデルが適切であることが分かった.また積雪粒子の表面にラフネスを導入することにより,より観測値に近い結果が得られることが分かった. 3.リモートセンシングデータから積雪物理量を空間的に精度良く推定されているかどうか検証するためにアラスカ縦断積雪調査を行った.調査項目は積雪深,積雪粒径,積雪密度,積雪温度,積雪不純物濃度などの基礎物理量である.積雪深はマイクロ波放射計データから,積雪粒径,積雪不純物は可視・近赤外センサから推定される物理量である.その結果,推定された積雪深は地域によってばらつきがあるもののツンドラ域では積雪深の傾向はほぼ一致していた.タイガにおいては森林の影響により積雪深を過小評価している傾向にあった.積雪粒径,積雪不純物濃度については現在解析中である.
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Research Products
(3 results)