2005 Fiscal Year Annual Research Report
場面の文脈情報に基づいた視覚的注意の制御メカニズムおよびその脳内機序の解明
Project/Area Number |
05J00050
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 洋和 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 視覚的注意 / 文脈処理 |
Research Abstract |
本研究課題では、人間の視覚情報処理において、場面の中のどこに注意を向けるかを決定する視覚的注意の制御メカニズムについて実験心理学的手法を用いて検討を行う。特に場面の文脈が注意制御に関与する状況に注目し、場面内の物理的情報から定義される物理的文脈情報による注意制御がフィードバックループを必要としないメカニズムであるという観点から、文脈処理の脳内機序の解明を目指している。本年度は特に処理の時間特性の解明を目指し、実験的検討を行ってきた。その成果として、物理的文脈処理の立ち上がりが刺激呈示後約100ms前後であることが示され、時間的制約からフィードバック処理の介在する可能性が低いことを示唆する実験結果を得た。また、これまでの研究と異なり、少人数の被験者に過学習させることによって、安定した実験結果を得ることができるようになり、次年度以降の研究において制度の高い実験を行うための実験パラダイムを確立することができた。これらの成果は、5月の国際会議(Vision Science Society)にて報告される予定で、現在論文として投稿するための準備中である。また、物理的文脈に一致しない新規なオブジェクトに対して注意が優先的に向けられるということを実験的に示すことに成功し、文脈処理の生態学的意味を明らかにする上で重要な知見を得た。この成果は、海外学術雑誌(Psychonomic Bulletin & Review誌)に受理され、現在印刷中である。
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Research Products
(1 results)