2006 Fiscal Year Annual Research Report
場面の文脈情報に基づいた視覚的注意の制御メカニズムおよびその脳内機序の解明
Project/Area Number |
05J00050
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 洋和 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(SPD)
|
Keywords | 文脈手がかり / 視覚的注意 / 潜在学習 |
Research Abstract |
この研究課題では,物理的文脈情報による注意制御がフィードバックループを必要としないメカニズムによるものであるとの観点から,最終的にはその脳内機序を解明することを目的とする。この研究課題では「文脈処理の時間的特性の解明」「文脈情報の符号化過程の解明」「文脈処理の脳内機構の解明」の3つのテーマを設定し,段階的に研究を進めている。 今年度は,前年度の後半に引き続き「文脈情報の符号化過程の解明」に関する実験を行なった。特に,符号化過程における注意の役割を明らかにするために,様々なタイプの課題を用いることによって,符号化中の注意処理を操作した。また,処理中の眼球運動を測定することによって,顕在的な注意の移動過程を測定した。その結果,文脈手がかりの学習には,系列的な注意の移動や課題中に観察者が明示的な反応を行うことは必要ではないことが明らかになった。これらの結果は,これまでの研究の中で,想定されてきた文脈情報の学習過程では説明できない。さらに研究を進める中で,意図的に学習しようとする顕在学習過程が,文脈情報の潜在学習過程と干渉することを発見した。現在どのような状況下で干渉が生じるかを調べており,それを通して脳内で生じている潜在的・顕在的な学習過程のメカニズムの解明につながると期待できる。 また「文脈処理の脳内機構の解明」に関して,予備的な実験を始めた。多チャンネル脳波計を用いて,文脈処理中の脳内の時間的・空間的性質を明らかにすることを目指す。
|
Research Products
(2 results)